トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

戦略コンサルティングファームの戦略実行

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昨日のエントリで戦略コンサルティングファームにも戦略は必要であるといった旨のエントリを書いた。

 

一方で戦略の実行になると戦略コンサルティングファーム固有の難しさが存在していると思っている。結局のところプロフェッショナルファームのパートナーがアカウント・ピッチ・デリバリー活動を(ジュニアを活用しながらも)単独で回すことができるため個人商店の集合体という側面があるのである。またパートナーシップである以上はパートナー間では同額の資本を出し合った対等の文字通りパートナーであるため、本質的には指揮命令系統のない仲良し集団のようなものなのである。このようにパートナーが単独で活動できてしまい、しかも指揮命令系統が存在しないためファーム全体として(多くの場合、クセの強い)パートナーたちを一つの戦略に基づいて動かすのは決して簡単なことではないのである。

 

指揮命令系統がない組織においてパートナーたちが戦略に適合しない活動を行うことを防ぐやり方や仕掛けはいくつかは存在数る。一つの典型がアソシエイトたちのアサインメントである。この権限をコーポレート機能の持たせることで、非注力領域のプロジェクトを受注したパートナーに対してはジュニアメンバーアサインメントの優先順位を落としたり、あるいはそもそもアサインしないという仕組みにすることはできる。もっと過激にやるならば契約書を結ぶ段階においてそのような仕掛けを入れることも可能である。あるいは評価項目を変えることもできる(指揮命令系統はなくても評価は当然存在する)。戦略的に重要なテーマに携わるパートナーに関しては従来とは異なる評価項目を導入することで当該テーマに取り組むインセンティブを与えることも可能である。

 

またパートナーは前線でアカウント・ピッチ・デリバリーの活動をしている以上は採用、評価システム、アサインメントの仕組み、クライアント企業の優先順位づけといったことを変更することはパートナーだけで取り組むことは簡単なことではない。もちろん最終的な判断はパートナー(共同経営者)である以上、行う必要があるがこれらの非連続な変化を起こす活動の実行を担う機能は必要となる。(あくまでも戦略に整合する形で変化を起こす機能である。定常的に回すこと自体は各間接部門が担っている。)言い換えるとまたCOO的なポジションが必要であるのである。私自身が把握している限り、実際にそのような役割を担っている人は少なくとも何社かでは存在するし同様に何社かのIBDの部門内にはそのような人はいる。

 

戦略コンサルティングファームはクライアント企業に対しては戦略のアドバイザリーを提供しているが自身の戦略の立案と実行も考えなければならないのである。