トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

コンサルティングファームの提案活動

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コンサルティングファームではマネージャー以降はプロジェクトのデリバリーだけでなく提案活動も担うようになる。私自身は「営業マン体質」ではないため提案活動は自分にとって必ずしも自然にできることではないものの、予想していたよりも大分スムーズにできた。アソシエイトの頃は「自分には提案活動は向いておらず、マネージャーやプリンシパル、パートナーになったら大苦戦するのではないか?」と思っていたが実際にやってみるとそこまでではなかった。

 

理由は結局のところコンサルティングファームの提案活動はプロジェクトのデリバリーの延長に位置していることが多いためである。全くの新規クライアント企業からの依頼はそこまでは多くなく大半のプロジェクトは長く付き合いのあるクライアント企業から依頼されることが大半なのである。そのためプロジェクトのデリバリーでしっかりとクライアント企業のシニアメンバーと関係構築をし、プロジェクトのデリバリー同様にシニアクライアント目線で物事を考えれば自ずとうまくいくのである。ただし上記は原理原則の話であり、やはりいくつかの点では提案するようになってから意識するべきことはあると考えている。

 

一つ目はクライアント企業がコンサルティングファームを活用する組織内での理屈を考えることである。一部の特殊な形態の企業を除き、コンサルティングファームに仕事を依頼する企業は大企業であり、ザ・クライアントは組織の中でコンサルティングファームを活用する理由を論理的に説明することが求められる。コンサルティングファームとしてはそれを意識した提案をする必要があるのである。これを実施するためには組織内の力学を理解している必要があり、プロジェクトのデリバリーとは多少違う頭の使い方が求められる。

 

二つ目は提案書の書き方を覚えることである。提案活動においては必ずしも提案書が重要であるとは限らず、むしろ提案書はほぼ儀式のようなものであり提案書を提出するはるか以前に事実上プロジェクトが確定していることもあるしそれが理想ではある。しかしながら場合によっては過去の関係性などはあまり考慮されず、純粋に提案書の質でプロジェクトが決まる場合もある。そのため提案書の書き方のコツは覚える必要があるし、またさまざまなフォーマットの提案書を書ける必要になる。またそれ以上に提案書に何が求められ、何を強調するべきかといったことを理解する必要がある。このあたりは様々なノウハウがあるが機密性が高いため割愛する。

 

三つ目として提案そのものの幅も広げておく必要がある。同じ課題でもアプローチや用いるツール、知見などは案外と幅がありそれらを使いこなせる必要がある。また期間や体制はもちろんのこと、フィー体系なども同様である。特に昨今は伝統的でないデリバリーモデルも増えてきており、それらを上手く活用すると大きな付加価値を提供できるとともに差別化にもつながる。このあたりもファームのノウハウがかなり存在するため割愛する。

 

最初に述べた通り、シニアクライアント目線に立って提案をすれば自ずと筋のいい提案はできるし、仕事を依頼されることになるというのが原則である。しかし提案活動に関わるにあたっては上記は頭の片隅に置いておいても損はないだろう。そして結局のところは実践あるのみなので、積極的に提案活動に関わることが推奨される。プロフェッショナルファームでは明示的な職務規定などはないのでやる気と多少の実力さえあれば、アソシエイトやアナリストのうちからも貢献できる。そのためこの業界で長く仕事をしようと考えているのであれば、年次が浅いうちからも機会を積極的に探ってみるといいだろう。