トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

ビジネスシミュレーションモデル

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一般的に将来の事業計画を策定するときはビジネスシミュレーションモデル(以下モデル)を策定する。これには財務的な指標だけでなくオペレーショナル指標(例えば市場規模、市場シェア、拠点数、営業生産性、コスト効率など)なども含まれる。

 

このモデルというものは一般には典型的なジュニアワークとみなされる。確かにモデルそのものの作成はジュニアが一般には担当するが(プロジェクトの性質にはよるものの)モデルを使ったシミュレーションは事業理解と経営上の優先順位を決定するための強力なツールに本来はなるため、一つのジュニアワークと位置付けるべきではないのである。

 

少し例を挙げる。以前にある大企業のCFOが自社の子会社に不満を抱えており当該子会社の事業計画の精査・策定を支援したことがあった。私自身もこの子会社の経営陣の話を聞いてみたり経営資料を見たりするとこのクライアントのCFOの不満はよく理解できた。結局のところこの子会社は様々な施策を検討しており、またそれらの施策の方向性そのものはどれも正しいように見えたものの、それら施策群がいくらの利益貢献につながるのかが全く見えなかったのである。言い換えるとインテリジェンスが練り込まれたビジネスシミュレーションモデルが存在しなかったのである。

 

このようにモデルが存在しないことは管理上の問題だけには留まらない。モデルが存在しないと施策と利益の結びつきが明確でないため、大した利益につながらない施策に大きな経営資源を投入している可能性もあり、逆に本来ならばもっと経営資源を投入するべき領域にわずかしか配分していない可能性もあるのである。一見当たり前のようなことであっても実際にモデルを作って利益への貢献をシミュレーションをしてみると案外多くの思い違いや見えなかったことが見つかるのである。

 

このようなことを実現するモデルの策定は一見当たり前に見えるかもしれないし、簡単に映るかもしれない。しかし多くの場合、企業には財務部や経営企画部が作る財務シミュレーションモデルと事業部が策定するシミュレーションモデルが混在し、それらに整合性がなかったり、あるいは戦略的に必要な粒度に落とし込まれていないことが多いのである。そしてそれらを統合したモデルを策定するのは案外骨の折れる行為であり経営の介入が必要な場合が多いのである。またコンサルタントとしてこのようなモデルの策定に関わる場合もその重要性と難易度から決してジュニアだけに任せるべきではないのである。

 

ビジネスシミュレーションモデルは単なる事業理解や事業計画だけでなく戦略検討という意味でも必要な経営ツールなのである。