トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

小売業と経営

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例によって専門外の業界に関する雑感、。

 

アパレル、食品、生活雑貨、家電、化粧品といった消費者向けの商品のEC化率は年々高まっている。過去のトレンドだけでなく他の先進国との比較をしても商品カテゴリにもよるが総じて日本のEC化率は低く、国ごとの地域的な特性はあるにせよ今後も伸びていくと考えられる。

 

これまではECというと、オフライン発祥の企業であればリアル店舗の副次的な位置付けとされ、リアル店舗を補うような形であった。実際にEC比率を見てもECが進んでいるユニクロ良品計画の国内で10%未満、ヨドバシカメラで15%でありその数字を見てもネットはあくまでも副であったのである。

 

この構図が今すぐ変わるわけではないが、EC化率が過去と同じように進むと商材にもよるがいわゆるショールーミングなどの現象もより深刻となり企業は対策を打つ必要が出てくるだろう。実際にヨドバシカメラは将来EC化率を50%まで高めたいとも発言している。

 

このレベルまで到達するとECは決して「副」ではなく少なくともオフライン店舗と同格、場合によってはECが主であり、オフラインが副となることもあるだろう。また売上構成だけでなくオンラインとオフラインとの役割を見直し、両者を連携させながら価値創造を最大化する戦略の策定とそのオペレーションの構築が必要になるはずである。

 

このような流れに対応するためには「EC管掌常務取締役」のようなEC事業担当者だけでは決して務まらず、商品企画、マーケティングサプライチェーン、IT、ストアオペレーション、店舗開発といったほぼ小売全機能を巻き込んだ変革が必要となりそれができるのは社長しかいないのである。このレベルの変革は一つの事業や機能の担当者では手に負えないのである。小売業界に長く従事している関係者の話を聞く限り人によっては「今後10年で主要な小売企業の半分くらいは深刻な経営危機に直面する」と言っているような人もいる。

 

ただ一部の先進的な小売企業を除き社長がそこまでの危機意識と変革の意志を持ってEC化の流れに対して十分な施策を打ってるような企業は少ないように見える、というのが外部から見た素朴な感想である。特に小売業者は数も多いため規模の小さな企業は現状維持・改善で精一杯であり、それ以上の施策を十分に打てていないように見える。

 

先ほども述べた通り今すぐ急激にEC化が進むわけではないが、それでもこの傾向が続くといわゆる茹でガエル状態となり思ったよりも遠くない将来、経営危機に直面する企業も多く出てくるのではないかと思っている。以前にも書いた通り変化を起こすのは(そして変化を起こすのが)経営者の仕事なのである。