トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

紙2001という思考装置

スポンサーリンク

私は紙2001というテキストエディタを使用している。使用方法は記録装置としてだけではなく思考装置としても使用している。このいソフトは今から20年前の1999年に当時高校生であった洛西一周氏が開発した(凄い)ソフトである。(紙2001はフリーウェアでその後、紙copi Liteというフリーウェア⦅ただしユーザー登録が必要⦆と紙copi ver.2.732という有料版にアップグレードされている。)

 

このソフトのコンセプトはその名前の通り「紙の使い勝手をPC上で再現する」ことであり実際にそれは10年以上使用していて実感する。私自身新しいPCを手に入れたら真っ先にやることはこのソフトのインストールである。また私と一緒に働いたジュニアの人でもそれなりの人数がこのソフトを使っており、またその人たちと働いた別の人たちもまたこのソフトを使っていることもある。

 

このソフトの基本構成は左側のバーにはフォルダとフォルダ内のテキストファイルが表示され、残りの画面はテキストが記入できる仕様になっている。テキストもリッチテキストではなくシンプルなテキストのみで(ハイライトだけはできる仕様ではある)、1行目のテキストがそのままファイル名となりバックグラウンドで勝手に”Filename.txt”のファイルが生成される仕様となっている。これだけ書くとありふれたテキストエディタに聞こえると思う。しかし私自身はこのソフトではいくつかの点で極めて完成度が高いと思っている。

 

一つ目はスピードである。とにかく早いのである。起動もタイムラグなく一瞬で起動でき、またファイルもctrl+Sなどを押さずに勝手に変更と同時に保存される仕様になっている。(一時期Evernoteに浮気も検討したが、とにかく動きがもっさりしていてすぐにやめた。)物理的な紙でもソフトでもコンマ数秒でもタイムラグがあると案外思考と視覚情報が一致しないため思考装置としては機能しないが、スピードという点でこのソフトはとにかく優れている。

 

二つ目はショートカットの設計である。このソフトはファイル間移動、フォルダ間移動、新規ファイル作成などが全てショートカットに対応しており、かつそれらの設定がユーザー側でできる仕様になっている。これも当たり前のように見えるが、ブラウザベースのEvernoteだといくつかのショートカットが対応しておらず案外このようなかゆいところに届くソフトはない印象ではある。

 

ちなみに仕様方法としてDropBoxやBOXなどのクラウドストーレッジと連携すれば(単純にテキストファイルの保存先をクラウドに設定するだけである)クラウド対応もできる。

 

さて以上はあくまでもソフトの仕様についてであったが、以下では使用方法についていくつか述べていきたい。思考という意味では私は概念的な思考と言語的な思考に大きく分けられると思っている。そして概念的な思考ー例えば何らかのフレームワークを作る場合などーには残念ながらテキストエディタは向いておらず、そのような思考が求められるときは物理的な紙とペン、あるいはホワイトボードを使用するべきであると思っている。

 

一方で言語的な思考が求められる場合もある。特に私がテキストエディタを使うのは論点の明確化と構造化である。真の論点を考えるのは案外簡単ではなく、サブ論点を思いつくままに書き出してグルーピングおよび上位概念化したり、あるいは大論点を一文で書きそれを何回も修正するといった作業が必要となる。このような思考にはテキストエディタは最適である。人によってはエクセルを用いているがやはり思考にとっては不要な機能があったりタイムラグがあったりすることなどを考慮すると私は思考装置としては向いていないと考えている。とにかくシンプルにテキストでコンテンツに集中できる必要がある。もちろん論点だけでなくその仮説や検証方法なども書くときも同様である。(これもエクセルで不必要に構造化するよりは、単純に論点の下にインデントして書く方が一覧性もあっていい場合が多い。)

 

このソフトが思考装置である所以はほぼ上記の論点なり仮説なりの整理のために用いているためである。これは一見大したことに見えないかもしれないが、この仕事はとにかく論点を言語的に明確化することが極めて重要であるため、それをストレスなく脳と視覚が直結したような環境を整えることは必須である。特に私のように(毎日ブログを書いていることからも分かる通り)極めて言語思考が強い人間にとってはなおさらである。

 

また(最近は諸事情によりあまりやっていないが)ToDoリスト管理としても使用している。具体的にはToDoファイルを作成し「●XXXXXする」といった動詞系でToDoを列挙し、ボールが他人にあるものはタブでインデントし、インデントされていないものを一つ一つこなしていっている。作業が終わったものは「*******」で区切られた行以下に移動させている。また一つのToDoをこなす際は、そのToDoをコピーし新たなファイルを作成しその一行目(すなわちファイル名)にそのTodoを設定している。このようにシステマチックにこなすことで大分作業が効率化されるのである。

 

またメールなどの下書きも必ずこのソフトを使用している。理由は一定の確率でメーラーが落ちて作業が消えるリスクがあるためである。このソフトはそのシンプルさゆえに落ちることはまずないし、落ちたとしても毎秒保存されているのでダメージはゼロである。

 

言語的な嗜好装置にはこだわってみるといいと私はいいと思っている。