トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

インテグレーター

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業界ネタ。

 

現代におけるコンサルティングファームのデリバリーモデルの基本はチームで働くことだと私は考えている。パートナーがピンでデリバリーまでできるような案件であればクライアント企業としてはわざわざ高い費用を払ってファームに依頼する意味はなく個人で行なっているコンサルティング事務所に依頼すればいいのであり、ファームがその費用を正当化するためにはパートナーシップのシナジーが必要である。ファームがパートナーの集合体ではなくシナジーを生み出すためには個別のデリバリーにおいても業界や機能の知見を持ったパートナーたちがチームを組んでデリバリーをする必要が(論理的には)ある。

 

このように考えると各パートナーは何らかの業界なり機能なりの知見を持つ必要がある。ただしこれだけでは不十分であり、パートナーたちがそれぞれの専門知見を持ち合わせてデリバリーを行うときに必ず誰かが知見を統合するインテグレーターの役割を果たす必要がある。結局のところ専門性を持っていたとしてもそれがクライアント企業の経営課題やその背景にある文脈に照らし合わせたときに何らかの事象を専門知見から見たときにどのような意味合いがあるのかを統合してクライアント企業に対してコミュニケーションをする必要があるのであ。このような役割がいないとクライアント企業からすると「色々と専門的で面白いことは言っているけれど結局当社として何をすればいいのかが不明確である」と感じてしまうのである。

 

基本的にはこれは当該クライアント企業と長く付き合いのあるパートナーが担当するべきであるが、このときにインテグレーターは決して「伝書鳩」になってはならないのである。インテグレーターを果たす人は場合によっては当該案件に関わる業界・機能知見をほとんど持っていないためにそれらは他のパートナーに依存せざるを得ない場合もある。しかしそうであっても役割分担の名目のもとにコンテンツを全て他のパートナーに任せる結果、個別のコンテンツは専門性が高いがクライアント企業への意味合いがない、といったことになってしまうのである。インテグレーターの役割を果たす人は例えコンテンツの知見がなかったとしても他のチームメンバーの専門知見をどのように構造化しクライアント企業への意味合いをどのように解釈するのか、といった角度からコンテンツに関与しなければならないのである。

 

これは一見当たり前のように見えるが様々なプロフェッショナルファームと働いたことのあるクライアントに話を聞くとプロフェッショナルファームに対する典型的な不満の一つとしてインテグレーターの不在があげられる。(これは戦略コンサルティングファームに限らず、弁護士事務所や会計ファームでも同様である。)特にグローバル案件だとどうしてもローカルチームにコンテンツを依存することが多く日本チームが伝書鳩的になってしまうことが想像以上に多いのである。(また現実問題としてローカルチームのコミュニケーションが電話会議で英語であったりすることも一因としてはある。)

 

コンサルティングサービスを提供するのであればあくまでも明確に一名のインテグレータが必要であり、そのインテグレーターは例え個別のコンテンツの知見がなかったとしてもクライアントへのコミュニケーションだけでなくコンテンツにも構造化と意味合いの抽出という形で貢献しなければならないのである。