トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

飲食チェーン問題

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昨今はチェーンの飲食店はどちらかというとネガティブなイメージを持たれることが多いと思っている。何となく面白くない、味も悪くはないがと特別美味しいわけではない、といったイメージである。ただこれは一般論であり飲食チェーンの中にはそのチェーンのブランド名が高い品質(ここではいうまでもなく味だけでなく総合的な顧客体験という意味で述べている)の証明となりチェーンだからこその優位性を生んでいるようなブランドも存在する。つまりチェーンだからこそネガティブに働く場合もあればポジティブに働く場合もあるのである。飲食チェーンを経営する上で前者から後者に移行するためには何をするべきなのだろうか?

 

個人的にはこの問題には特効薬のようなものは存在しないものの一つの考え方は存在すると思っている。まずはそもそもの目的を考える。私はこの問題は特に新規来店の際に解決するべき問題であると考えている。言い換えると一度新規来店さえしてしまえばそこまで重要な問題にはならないと考えている。結局のところ大半の飲食チェーンの個別店舗はリピーターによって支えられているものであり、一度顧客が当該飲食ブランドで得られる体験を理解し、それを気に入ればリピートするようになるし気に入らなければ来ないだけの話でありそれは飲食チェーンが提供する顧客体験の質によるものであり、チェーンか個人経営店かの差は原則として生まれないはずである。(もちろん例外はある。例えば飲み会の幹事で自分はそのチェーンが好きであってもチェーンであるが故にネガティブであると見られることを避ける、といった場合は想定される。)

 

つまり「飲食チェーン」問題はまだ来店したことのない潜在顧客が当該ブランドを認知はしているが、チェーンであるが故に来店したことのない消費者を如何に獲得するべきか、が論点となる。例えば非チェーンであればあるブランドは一定期間に100の新規来店顧客を獲得できていたとする。ところがもしこのブランドがチェーンであったとすると「チェーン店だから行かない顧客」が20存在し、一方で「チェーン店だから行く顧客」が10存在し、ネットで新規来店顧客が90となるのである。(後者のようなパターンももちろん存在するはずである。チェーン店はある種の品質証明にはなっているのでそこに安心する消費者はいるはずである。)

 

このときチェーンのブランドはいかにして90を100か願わくばそれ以上にするかを考える必要がある。このためには「AブランドはXXXだから行く」という顧客を「AブランドはXXXだから行かない」というものを乗り越えてネットでプラスにしなければならないだろう。そもそも「飲食チェーン」問題もXXXの部分が「チェーンだから行かない」という構造になっている。そのため他のポジティブのXXXを見つけなければならないのである。例えば「Aブランドは美味しいと噂だから行く」「Aブランドは面白い演出をするらしいから行く」などである。ただしこれはあくまでも体験に基づくものではなくあくまでもパーセプション(認識、イメージ)に基づくものである点に留意するべきなのである。

 

あくまでもパーセプションに基づくである以上はブランドイメージを上記に述べた「ブランドを知ってはいるけど新規来店したいと思うほどのプラスのイメージは持っていない」潜在顧客にターゲティングして構築する必要があるのである。このようなブランドイメージを構築するためには想起ワードの設計とマネジメントが非常に重要になってくるだろう。つまりAブランドと聞くと想起されるキーワードがプラスになっている必要があり、それがユニークでチェーンであることを打ち消して来店を促すほどに魅力的なものでなくてはならないのである。この想起ワードは簡潔でかつ独自のものである必要があるだろう。これを設定しそれに基づいたマーケティング(顧客接点の設計)活動を行うべきである。

 

広告一つ打つにしても漫然と行うのではなく、あくまでも上記に該当する潜在顧客をターゲットとして来店を促すキーワードを想起させることを目的としなければならないのである。また既存顧客に対しても想起ワードに基づいた顧客体験を提供することで口コミを醸成することも必要であろう。具体的な活動はブランドによって異なるが、いずれにせよ「飲食チェーン」問題を解決するための一つの解の方向性としては上記のような一貫した思想が必要であり、それは社内でそれを言語化し共有する必要があるだろう。そしてこれはそのブランドのトップ、単一ブランド事業であれば経営者の意思がないと実現できないのである。