トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

コスト増の考え方

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売上高40億円、営業利益率8%の外食企業があったとする。同社は年々新規出店により急拡大をしており、今後も売上高を数年で倍の80億円、営業利益率10%まで伸ばしたいという目標を持っているとする。当該企業のコストに目を向けると売上原価、店舗関連の人件費、地代家賃などの店舗に紐づく変動費が70%で本社などの固定的な費用が22%、9億円となっている。

 

この企業の変動費比率が70%で変わらないまま売上高が予定通り成長したとすると固定費が8億円増えて営業利益が3億円から8億円になる計算となる。

 

ここまではただの算数に過ぎないがこのコストの伸び、特に固定費の8億円の伸びをどのように捉えるべきかは重要な論点であると考えることができる。つまりこの8億円を「売上高が倍になるのに伴って(固定費といえども)増加する費用」と捉えると意味合いは何も出てこないが「売上高を倍にするために経営者が使える費用」と位置付けると途端に戦略的な意味合いが出てくる。(前者は売上高が原因、費用が結果といった考え方になっているが、後者は費用が原因、売上高が結果という考え方になっている。もちろん後者がより企業活動の実態に即した考え方である。)

 

後者のように捉えると8億円の使途には経営のセンスが問われるのである。これをこれまでと同じような費用に分配するのでもいいし、広告宣伝に大きなお金をかけてもいい。あるいは急拡大しているためこれまでとは異なる採用方法にお金をかけてもいいかもしれないし、人材という意味では幹部クラスの人材を高給で数十人雇ってもいいかもしれない。研修に使ってもいいし、豪華な本社や社員旅行に掛けてもいいかもしれない。

 

いずれにせよ毎年8億円を投入して売上高を「買う」と考えるべきなのである。特にこの規模の会社で8億円を自由に使えるとこれまでとは質的に異なる活動ができるはずである。この質的に異なる施策を実施することで売上高を倍にすると考えると、この8億円の使途は戦略そのものであると見ることができる。

 

将来のPL策定はともするとジュニアワークと見られがちであり、一つ一つのコスト項目の増加はエクセルモデルの中に埋もれがちである。しかし戦略という目線で捉えなおしてみると全く違った見え方ができることもあるのである。

 

(後記)上記のモデル企業は以前に書いたダンダダン酒場という居酒屋チェーンを運営するNatty Swanky社を念頭に置いている。ただし本ブログではいうまでもなく同社について何か考察したいのではなく、あくまでも考え方を述べたいために本文では具体名は出していない。