トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

世界一の仕事をする

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波頭亮氏の「プロフェッショナル原論」はプロフェッショナリズムが「キュッと」凝縮された名著である。この本に書かれている内容はまさに「原論」であり、プロフェッショナルをキャリアを歩んでいる、あるいは歩もうとしている人であれば、最初は必ずしも全てを実現できなかったとしてもそもそも本書に書かれている姿を目指すべきものとして頭に入れておくべき内容であると思っている。その中の一つに「世界で最高峰の仕事をするべきである」といったことが書かれている。波頭氏も本書で述べている通り「そのように言ってもそれを冗談だと思って信じてもらえない」といった旨を書いていたように記憶している。

 

私もこの業界に入る前に本書を読みこの部分は強く頭に焼きついた一方で、正直な感想としては「氏の理屈は理解できるし目指すべきであるもの、とても自分が世界一の仕事ができるようになれる気がしない」というのが本音であった。しかしこの仕事をいくらかの年数を続け職位もいくらか上がったところでこの意味が自分なりに理解できるようになり、中には「これは世界一の仕事ができた」と思えるときもちょくちょく出てきたのである。

 

例えばマネージャーになって最初のプロジェクトで私の勤務先としては極めて短いプロジェクトを急遽やることになったことがあった。これはかなり癖のある業界に関するプロジェクトであり、これは私が所属するファームが構造上、得意な分野であった。また本件はクライアントはヨーロッパの企業であったものの地域としては日本が最も重要であったために日本で日本語(と英語)ができる人がリードする必要があった。そのため当然マネージャーは日本人である(正確には日本語を読み書きできる)必要があった。そしてこのプロジェクトは私が業界的にもテーマ的にも私が最も得意としていたために私が担当することとなった。つまりコンサルティングファームの中では当社が最も適しており、その中でも日本支社が最も適しており、その中でも私が最も適していた、と言えるのである。そして実際にプロジェクトは極めて効率的に終わり、結果的にこのクライアント企業は追加で当社に仕事を依頼することとなったのである。(何事もリピートが入るということがクライアントが満足していることの最も強い証拠である。)

 

このように地域・業界・テーマで絞っていくと経営コンサルティング業界もまだまだ大きいわけではなく結局のところ何人かの個人に辿り着くのである。そのためその地域・業界・テーマに限れば文字通り「世界一」の仕事はできるのである。もちろんこれが波頭氏が言いたかったことかはやや自信がないが少なくともこのレベルならば自分でも目指せるとは思っている。

 

このエントリを書いている今日も自分としては会心の仕事ができたと思っている。やはり構造上、私が所属するファームが優位な業界とテーマで、かつ地域的にもテーマ的にも自分の得意とする領域であり、かつその仕事に時間と情熱(と優秀なチームメンバー)を投入したために圧倒的に世界一の仕事ができたと自負している。また当初の予定よりも順調なためクライアント企業に対して「早く終わる可能性があるのでその場合は早めに打ち切ることも検討するべき」と自信を持って言える仕事はできた。(そのため今はとても気分がいい。要するに自慢話である。)

 

現実問題として全ての仕事で確信をもって「世界一」といえるようには(残念ながら)なれていないが、それでも一度このような仕事をやると感覚的にどこまでをやればいいのかのはわかり指針になる。そしてそれが頭(=理屈)と身体(=感覚)で理解していると徐々に再現がしやすくなってくるだろう。

 

やはりプロフェッショナルたるもの波頭氏が述べている通り世界一の仕事をするべきなのである。