トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

コンサルティング業界仮説

スポンサーリンク

大手コンサルティングファームのクライアント企業は原則として大企業である。ファームによっても多少の差があるだろうが、基本的には日本企業の時価総額上位100社くらいがクライアントの大半を占めるだろう。結局のところこのようなコンサルティングファームのフィーは相応に高く、それを支払ってそれを十分に正当化できるだけの成果を享受するためには一定の規模が必要なのである。

 

一方で私自身、売上高300億円から売上高3,000億円くらいの企業にも潜在的にはコンサルティングに対するニーズは大きいと考えている。これくらいの規模の会社だと経営企画などのコーポレート機能がまだ十分に整備されておらず、オペレーションを回し、目の前の課題をこなすので精一杯という会社が多い印象である。そしてそのような状況だからこそいくつかの基本的なアプローチを当てはめると会社の利益向上に貢献できる余地は大きいと考えている。

 

一方で二つのブレークスルーが必要だとも考えている。一つ目はピッチのブレークスルー、もう一つはデリバリーのブレークスルーである。まずは前者。当該規模の企業だと社長とダイレクトに仕事をすることは必須である。この規模だとほぼ全てのオペレーションを社長が把握しており、また実質大半の経営判断はもちろんのことオペレーショナルな判断も社長がしている場合が多い。そのため社長と直に仕事をすることが必須である。そのためには営業する際に社長とのコミュニケーションパスを構築する必要がある。それは必ずしも簡単なことではなくなんらかの工夫が必要であると考えている。(なお、ここに関しては私は強力な仮説を持っており、またそれはある程度証明されつつあるがこれはここでは述べないでおく。)

 

もう一つはデリバリーのブレークスルーである。いくら潜在的には改善余地が存在していたとしても、その実現に工数がかかってしまうのであれば「ビジネス」としては成立しない。(なお原則としてプロフェッショナルアドバイザリーはビジネスではないためカッコ付きである。)この規模は会計系のファームや新興の独立系のコンサルティングファームが手がけていると理解しているが、やや「ビジネス」としては面白みに欠けているように見える。理由はプロフェショナルフィーに対して伝統的なプロジェクト体制で臨むとそれなりの工数が発生し、結果的にほぼトントンになってしまうと思われるためである。

 

これに関しては定石はコンサルティング領域を絞り、かつITなどをうまく活用してサービスを定型化・パッケージ化することである。ただこの難しさはコンサルティングというのはいくら領域を絞っても標準化に向かず結局のところテーラーメイドにならざるを得ない性質がある。標準化をして出てきた情報からはあまりインサイトが出てこないのである。

 

そのため表面上は最近流行りのスタートアップのように「AIや最新のデジタルアナリティックスツールを用いて自動で経営課題を抽出」という触れ込みにして実際は「NI, Natural Inteligence」、つまり単価の安いスタッフが人力で行うということになってしまい結局は工数とクライアント企業への貢献度合いと報酬がバランスしないと考えられる。

 

(これは余談ではあるが、1930年代のまだ会計ファームの色合いが強かったマッキンゼーはGeneral Survey Outlineと呼ばれる企業を分析するための30のチェックリストを用いていた。若くビジネス経験の浅いコンサルタントがこれを用いることで企業の事業の概要と課題をあぶり出していたようである。ただしこれは100年近く前の話であり、経営とコンサルティングいう概念が出始めた時代だからこそ通用していたと考えられる。)

 

このあたりに関してはあと一段の何らかのブレークスルーが必要だと考えている。ピッチとデリバリーのブレークスルーがあれば(前者は強力な仮説はあるため実質は後者のみ)中堅企業に対するコンサルティングサービスでイノベーションが起こせるのではないかと考えている。