トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

提案書の差別化

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コンサルティングファームでは概ねマネージャー以上になるとプロジェクトの提案書策定を担当することになる。

 

提案書の書き方にはかなりのノウハウがあり、一部は企業秘密なのでここでは書けないが、一つの典型的な失敗として「なぜ当ファームが本件を支援する上でベストなのか?」という問いに答えられないことが挙げられる。より正確には「なぜ当社か?」という問いに本質的には「頭がいいから」となっている提案書が多いことがあるがこれは理想とは程遠い理屈である。そんなことがあるのか、と思うかもしれないが現実問題としてはそのような提案書は多い。具体的には「提案するプロジェクトではこのようなアプローチを取るべきであり、そのノウハウを知っている」というような内容である。これは本質的には「自分たちは頭がいい」と言っていることとほぼ差が無い。過去に類似のことをやったことがある、というのも本質的には上記と同じ理屈である。

 

しかしこのような提案書ではクライアント企業内でりん議を通すことが難しくなる。特に提案先が日本の大企業のような場合はその傾向が強い。クライアント企業にとって全く新しいことをするのであればアプローチを知っていることは説明できるが、そうでなければ社内では必ず「外部に高いお金を払わずに自分達でやればいいじゃないか、それがお前たちの仕事だろう」というような議論が生じる。そのときに「コンサルティングファームの方が詳しいです」というのはある種、「自分たちは仕事ができないです」と言っていることになりかねないのでりん議に上げる部門の立場が苦しくなる。

 

もちろん現実にはアプローチを知っていることがプロジェクトデリバリー上は価値であることも多い。しかし社内を通す大義名分という観点であるとそれでは弱いのである。そうではなく、例えば当社にしかないデータベースやツールがある、あるいは顧客や提携先を紹介できる、といったことであればそれは自社ではできないことなので説明が付きやすいのである。

 

現実には提案書を作るなかなか「なぜ当社なのか?」という理屈がなく、色々と言っても結局は「頭がいいから」になってしまうことも多い。しかし提案書を作るときはこのような提案にはせずに「クライアント企業は構造上できないけれど当社にはできる何か」を明確に意識するべきである。