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コンサルティングの現場から

昇進に関して - マネージャーからプリンシパル編

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前回、前々回に続いて昇進に関する留意点。今回はマネージャーからプリンシパルに昇進するにあたって意識するべき点を述べていく。

 

また詳細に入る前にプリンシパルの特徴について書く。マネージャーとプリンシパルの大きな違いはマネージャーの役割は一義的にはデリバリーであるのに対して(もちろん人によってはその限りではない)、プリンシパルの仕事はデリバリーだけでなくピッチ(=提案活動)、アカウント(=クライアントとの関係構築)に関連する活動も行うことにある。逆にデリバリーに割く時間の割合はだいぶ低くなる。デリバリーだけをやっていればいいアナリスト、アソシエイト、マネージャーとは大きく異なると言っていいだろう。そのためにこの変化にどのように対応するかが課題になる。

 

さて以下が具体的に留意するべき点である。

●「デリバリー」だけでなく「ピッチ」「アカウント」にも意識的に時間を使う
●専門性を高める活動も意識的に行う
●パートナーへの昇進ストーリーを早めに作り公言する
●デリバリーの勝ち筋を見通す「千里眼」を持つ

 

一点目。これは最初にも述べた通りマネージャーからの大きな変化である。しかし一方でプリンシパルクラスになると原則として誰かに言われて案件に配属されるのではなく自主的に仕事を見つけてそれに取り組むことになる。(現実的には「偉いシニアパートナーに言われて断れなくて」やる仕事も多いがプロフェッショナルファームにおいては特にプリンシパル以上は一義的には自分の仕事は自分で作るべきである。)。言い換えると誰かにピッチやアカウントマネジメントを担当するように言われるまで待っていたらダメであるとも言える。これは人事部からプロジェクトに配属される仕組みになっているマネージャーまでとは大きく動き方が異なる。結局のところプリンシパルになると仕事は自分で作らないといけないのであり、そしてプロフェッショナルファームでは常に昇進前に次の職位の仕事をすることを考慮すると、マネージャーの後半ではすでにそのような動きをしなければならないのである。そのためには意識的に「ピッチ」「アカウント」にも時間を割かなければならないのである。

 

二点目。これも一点目と関連してクライアントに関連した仕事以外にも専門性を高めるための活動を意識的に行うべきである。社内外向けのペーパーを執筆するのでもいいし、何らかの外部イベントに関わるのでもいい。あるいはそれに関連して知見を構築するための社内プロジェクトを立ち上げるのも一つの案である。いずれにせよ、ピッチ・アカウント同様に専門性を高める活動にマネージャー後半から意識的に時間を割かないと気付くと「デリバリーしかできない人」になってしまうのである。

 

三点目。そもそもプリンシパル(ファームによってはディレクター、アソシエイト・パートナーなどの名前)はある意味でメザニン的な位置付けであり、マネージャー以上パートナー未満のやや中途半端な役割である。たまに「プリンシパルロールなどというものは存在しない。あるのはマネージャーロールとパートナーロールである」と言われこともある。そのためプリンシパルに昇進するときにはすでにパートナーに昇進する仮説的な道筋が見えている必要がある。(これはどの職位でもそうだが特にプリンシパルはその傾向が強い。)そしていうまでもなく、そのような道筋は誰かは作ってくれることはなく、自分自身で練らなくてはならない。マネージャーの後半くらいにはパートナーになるための道筋は自分なりに持っておき、それを周囲にも伝えるべきである。

 

四点目。上記で述べた通りプリンシパルになると仕事内容は「ピッチ」「アカウント」にも広がる。しかし一方でデリバリーにも引き続き関与しなければならない。具体的にデリバリーにおいてプリンシパルに求められる役割はデリバリーの品質保証である(これは本来はパートナーの仕事であるがプリンシパルのうちから「パートナーの見習い」として担当をするようになる)。これはあくまでもプリンシパル以降の仕事でありマネージャーのうちにデリバリーの品質保証までできている必要はない。しかしプリンシパルに昇進するためにもマネージャーのうちから「あの人はデリバリーは余裕を持ってできる」と見られる必要がある。そのためにはマネージャーの後半にはプロジェクトの前半では「このプロジェクト全体では大まかにはこの辺りの論点が重要になり、それに対してはこのような仮説があり、それを証明するためにはざっくりとこのような分析作業が発生し、それは現実的な範囲でできる」といったような見通しを立てておける必要がある。これはデリバリーに慣れてくるとプロジェクトが1/3くらいが経過した段階で落とし所が見えているようになれるし、なるべきである。そのようになるためにも、マネージャーのうちから意識的に「日頃の細かい仕事は忘れてい鳥の目でこのプロジェクトを眺めるとクライアント企業にとってどこが付加価値になっているのか?」「どこがまだ解決していない論点か?」といったことを大局的に捉える習慣を身に付けるべきである。