トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

昇進に関して - アソシエイトからマネージャー編

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前回のエントリからの続きである。今回はアソシエイトからマネージャーへの昇進を目指す際に留意するべき点を述べていく。

 

まず詳細に入る前にマネージャーの仕事を少し述べていく。プロジェクトのデリバリーにおいてはマネージャーロールは花形といっていいだろう。コンサルティングを長く続けようと思っていない人でも「マネージャーまではやりたい」と思っている人も多い。(あるコンサルティングファームの日本史社長を務めた人物も「マネージャーは本当に面白いと思ったし昇進せずにずっとマネージャーをやっていたいとすら思った」と述べていた。)プリンシパル以上は一つのプロジェクトのデリバリーに100%の時間は使うことはないため、デリバリーの文脈ではマネージャーが最も詳細を知っている立場にあるしそうなるべきである。

 

マネージャーはこのように一つの花形職位であるが、自分以外の仕事の成果にも責任を負うという観点でそれまでのアソシエイトロールとは大きく異なる。(以前に書いた「ラストマンシップ」の観点では、心構えという意味では例えジュニアであってもよりジュニアな人の成果物はもちろんのことシニアの仕事の成果物にも責任を持っていると考えるべきではある。)そのため一つの典型的な失敗はプレーヤー(アソシエイト)としては優秀でも、自分ほどは優秀でないチームメンバーがいる中で自分と同じ基準を当てはめようとしてギクシャクする、ということが挙げられる。いずれにせよチームの能力をどのように最大限引き出すかが一つの重要な課題となる。

 

少し前置きが長くなったが以下がマネージャーに昇進する上で留意するべき主な点である。

●マネージャーは人ではなく仕事をマネージする
●WhatだけでなくHowまで考える
●全て完璧を目指さない
●必要に応じて「ペンを持つ」
●得意技は持っておく
●プロセスとコンテンツを切り分ける

 

一点目。これは以前のエントリでも述べたことだが、マネージャーは人ではなく仕事なりプロジェクトなりをマネージする役割であることを肝に銘じるべきである。マネージャーロールを初めたての人の一部は「マネージャーなんだからチームメンバーを管理しないと」と思ってしまうが、これは失敗の元である。特にプロフェッショナルファームのようにチームが特定部署に所属せずに流動的で、かつ個々が職位とは無関係にリーダーシップを発揮することが求められる環境においては、チームメンバーには例えジュニアであっても敬意を払い人を管理しようとは思うべきではない。

 

二点目。これも以前のエントリでも述べた通りだがマネージャーとしてチームメンバーに仕事を割り振る際も必ず目的やアウトプットイメージのようなWhatだけでなく、それを実現するためのHowも考えるべきである。Howを考えるのは当人の仕事だ、という思想のもとアウトプットイメージだけ伝えるのは結局のところ手戻りが発生して非効率である。必ずHowも考える。

 

三点目。現実的な問題として、特にマネージャーがアソシエイトとしては優秀であればあるほど、ジュニアなチームメンバーの成果物がどうしても自身の基準に達しないときがある。しかしこれを全て直していたら時間的に足りないことが多い。しかし一方でデリバリー全体から考えると成果物の重要度には濃淡があり、必ずしもす全ての成果物が重要とは限らない。そのため本当に重要なところには最高品質を目指し、あまり重要ではないところはある程度妥協するべきである。多少、スライドの出来が悪くてもメッセージが存在しあとはそれをサポートするファクトが判りにくくてもあればあとは口頭で補ってもいい。需要なのはマネージャーとしてどこが重要でどこが重要でないかを見極めておくことである。

 

四点目。上記に関連して本当に重要なところはマネージャー自らが「ペンを持ち」品質を担保するべきである。マネージャーになりたての頃は「丸投げすぎる」または「自分でやりすぎる」かのどちらかであることが多い。先に述べた通り重要度を見極めた上で、本当に重要な箇所は丸投げせずに必要に応じて自らがアソシエイトロールを担うべきである。重要なのは誰が何をやるかの役割分担ではなく、必要な成果を出すことである。

 

五点目。これはアソシエイトロールのうちに意識するべきことではあるが、得意技は持っておくべきである。例えばある特定のテーマのプロジェクト(例:マーケティング、調達費最適化、デューデリジェンス、組織設計、新規事業立案)や特定の業界に詳しいなどである。これらの得意技があると仕事を任せるパートナーとしても「あの人はこの種類のプロジェクトなら得意だからマネージャーとしてもできるだろう」と思われ、マネージャーロールを任せやすくなる。得意技はアソシエイト時代に配属されたプロジェクトによって結果的に身につくという外部環境的な側面はあるが、それでも得意技を身に付けることを日頃から意識しているとだいぶ異なる。

 

六点目。これも以前に書いたがマネージャーになるとアソシエイトが担当するコンテンツの作り込みに加えてデリバリーのプロセス管理も一つの大きな仕事になる。下手すると半分くらいの時間は各種時間調整などのプロセス管理に時間がとられてしまったりする。しかしこの時も常に「自分はプロセスの話をしているのかコンテンツの話をしているのか」を意識し、前者の時間は最小化するべきである。あくまでも価値はコンテンツにありプロセスにある。(生産工学的に言えば、付加価値作業と非付加価値作業のようなものである。)プロセスの話をしていると一見仕事をしているような錯覚に囚われるし、何よりもコンテンツに比べてプロセスを考える方が楽であるためプロセスに逃げがちだがそれはしてはならない。そのためにもコンテンツとプロセスを明確に切り分けるべきである。