トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

コンプリートワーク

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この業界に入った人が最初に意識するべきいくつかのことのうちの一つにコンプリートワークをする、ということが挙げられる。そしておそらくこれはコンサルティングに限らずに大半の仕事で同じだと思っている。

 

コンプリートワークとは文字通り仕事として完全にやりきった状態のアウトプットのことを指している。そして最初のうちは範囲はどんなに狭くても構わないので、担当した(狭い)仕事の範囲においてコンプリートワークをやりきることが大事である。コンサルティングの典型的な成果物の一部である一枚のスライドの場合、メッセージが明確であり、それを支えるファクトが視覚的に示されており、また出所や注釈が標準的なルールに従って記されており、図表の揃えなどの体裁面でも美しく整えられている必要がある。言い換えると、担当した人間としてはそのままクライアントとの議論に用いられる品質になっていると自信を持って答えられる状態になっているべきである。(もちろん状況によってはコンプリートワークをする前に、まずはそもそもどんなアウトプットを出すのかの擦り合わせがチームとは必要でそれを経る前にコンプリートワークをするのは無駄である。)

 

これは当たり前に見えるかもしれないが、コンプリートワークを意識しないと案外すぐにそうではなくなる。典型的な発想としては「社内用の議論であればどうせ修正が入るから、多少体裁や中身が完璧でなかったとしても修正反映時にまとめてやれば十分。完璧な品質は現段階では過剰品質である」という考えの元、コンプリートワークをやらないことである。このような考え方は一見もっともらしいが、そのような発想でやっている人には仕事は任せられない。品質というものは体裁なども含めて一旦完璧なものを仕上げて、その上で更に違う人の視点を入れて更に品質を上げるというプロセスを経るものであり、コンプリートワークでないと次のレベルまで品質を上げることができないのである。別の言い方をするとコンプリートワークでないと叩き台にならないから叩きようがないのである。

 

根底にある思想は以前に書いたラストマンシップと同じである。ラストマンシップを持っている人は「自分がこの仕事で完璧なものを作り込む最終責任者である」という考えをしているため、その人を通過した仕事は常にコンプリートワークになっているのである。違う見方をするとコンプリートワークを出さないのはラストマンシップいないとも言え、だからこそ信頼ができないのである。コンプリートワークを出してこない人は心のどこかで「この仕事の最終的な責任は自分ではない誰かが取ってくれる」という甘えがあるのである。

 

最初はどんなに小さな仕事でも構わない。もしかしたら印刷や食事の手配といった雑用かもしれない。しかしどんなに小さな仕事でもコンプリートワークをしないとそれよりも大きな仕事はできないのである。そしてそれはよりシニアになってからも同様で、担当する大きな仕事においても常にコンプリートワークをし続けなければならないのである。