トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

スライドの顔

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コンサルティングの仕事はクライアント企業のボトムラインを持続的な形で伸ばすことを支援することにあり、決して綺麗なパワーポイントを作ることではない。しかし、さはさりながらやはりパワーポイントの資料を作ることはそれなりにある。特にいわゆるオペレーション支援プロジェクトではなく戦略支援プロジェクトではそれなりの枚数のスライドを作ることになる。(もちろん資料は少ないほうがいい。)

 

私自身はおそらく年間で数千枚は読んでいると思う。それだけの枚数を読んでいると改めてスライドが視覚的であることの重要性を感じる。「スライドは視覚的であるべき」とはコンサルティングファームに入社したら最初に1週間では何回も研修で言われるが、実際に視覚的であることの重要性を真に理解している人は案外少ないように思える。これは視覚的であることの重要性はいくら強調してもしきれない。

 

毎日、さまざまな資料に目を通すことが求められる経営者やコンサルティングファームのパートナーは単純に忙しい。そのため資料を読む時間も最小化したいし、資料1ページにつき文字通り数秒しか見たくない。文字通り数秒である。そのため視覚的な図表がないと、よほどがない限り読まれることはないと思っておいたほうがいい。(そもそもこういった人たちは若くても30代後半、大半が50代なので細かい資料を読む集中力が低下している。)例えば「事業が危機的状況にある」ということを伝えたい資料であれば、右肩下がりの棒グラフや、著しくマイナス方向に伸びた棒グラフや、ゼロを下回った位置で推移している線グラフなどが入っている必要がある。(イメージとしてはソフトバンクグループの資料などは参考になる。基本的にイケイケの孫さんが話すので、多くのスライドが右肩上がりや大きいことを視覚的に伝えている。)
https://cdn.group.softbank/corp/set/data/irinfo/presentations/results/pdf/2019/softbank_presentation_2019_004.pdf

 

投資銀行などが発行している数十ページのレポートなどを読む際も、原則としては図表だけを目を通し、興味が引かれたらその周辺のヘッドラインだけを読み、自分が関心がある領域であれば、初めて本文にも目を通す、といった具合になる。このようなレポートを読み慣れた人を眺めているとほぼ例外なく、そのような読み方をしている。

 

これは言い換えると、視覚的な図表がないとそもそも読まれない、ということもできる。そのためスライドを書く上で大事なのは「伝えたいメッセージをどのように視覚的にするべきか」を考えることである。もしもスライドが視覚的にならないならば(例えば縦横に軸を切った表のマス目に文字を埋めるようなスライド)、それはトップマネジメント向けの資料ではないだろう。私はこれをスライドの「顔」と読んでいる。この「顔」がそもそも視覚的であり、かつそれが伝えたいメッセージと一致していることをスライドを書く上ではとにかく重視しなければならない。(私も人が作った資料を見るときはまずは「顔」の流れを見て、それが資料の全体ストーリーと合っているかをまずは見る。これであれば1分でできる。)

 

繰り返しになるが、視覚的でないスライド、言い換えると大半が文字だけのスライドは余程のことがない限り、読まれないと思うべきである。スライドを作るときはどんな顔になるべきかを最初に考えるべきなのである。