トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

経営課題としての人事

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コンサルティングファームの若手の中には、年次が浅いにも関わらず信じられないくらい活躍している人の話をちょくちょく耳にする。例えばある若手はまだ入社1年にも満たないにも関わらず大手企業の事業部長に重要な会議の前に事業部長直々に指名され、その会議の準備に5時間くらい事業部長と一緒に(作業ではなく)議論をしている。別の若手はプロジェクトの一環でほぼ単独で工場の現場に入り込み、一週間でコンサルティングフィーの何倍もの効果を実現する施策の立案・実行支援をし、最終的には工場長が「他の工場もこの若手を呼ぶべきだ」といったことを社長に対して進言したといった話もある。

 

このような話は他にもいくらでも出てくる。コンサルティングファームは最近は就職活動でも人気が出ているためもちろん優秀な人を採れているとは思うが、やはり若手が活躍ができる仕組みも非常によくできていると言えるだろう。先に述べた若手も新卒でこの業界に来ずに日系大手企業に入社していたら、もちろん優秀とは見られていたであろうが少なくともそれだけの経済的付加価値は生んではいなかったのではないだろうか。

 

これは単純に業態の違いと言ってしまえばそれまでである。コンサルティングファームのような比較的小さな組織で数人のチームで1-6ヶ月のプロジェクト単位で動く組織と、大きなオペレーションを動かしていく組織では働き方は全く異なる。そのため人材の活用方法も当然異なる。しかしそれで業態の違いだから、と諦めて何十年も前に構築した働き方から根本的には変えていないとするならばそれはあまりにももったいないように思える。もしも適切な人材を投入することでその業務の生産性が大きく異なるとしたら、そして頭脳労働の度合いが高まれば高まるほどその差が顕著になり、かつ日本のような先進国ではそのような仕事が増えているとしたならば、人材の活用は人事部のような一つの業務を超えた経営課題になるのではないだろうか。

 

特にスタートアップやプロフェッショナルファーム、あるいは(同業でも)外資系の企業などといった日本の伝統的な大企業とは全く異なる働き方を提供する会社が就職・転職の選択肢として一般的になってきた中では日本の伝統的な大企業もまた何らかの対抗策が必要だろう。どのように適材適所に人員を配置するべきなのか、どのように人材を評価するべきなのか、どのように優秀な人材を採用するべきか、報酬体系をどのように設計するべきか、といった論点は人事部を超えた経営マターとして捉えないと今後、ますます優秀な人材を採用・維持できなくなり、結果的には会社全体の競争力が低下するのではないだろうか。

 

人材に関わる話は人事部マターではなく経営マターと位置付けるべきだろう。