トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

ワンマンアーミーモデル

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いうまでもなく資料作成・分析といったことはジュニアが担当する領域でありコンサルティングの本質ではない。そのためある程度のパートナーになってからは細かい作業遂行能力があるかどうかは関係なく、より重要なのはデリバリーの文脈ではジュニアなメンバーに対して正しくガイダンスを出せることとそのアウトプットを用いて正しいアドバイザリーを提供することである。別の言い方をするとジュニアなチームメンバーをレバレッジする必要がある。

 

ここまではこの仕事を数年でもやったことのある人だったら誰もが納得することだと思う。たまに「大手コンサルティングファーム◯◯出身者が教える〇〇術」みたいな本やインターネットコンテンツを見かけるがこれは自ら「自分は作業が得意なジュニアです」と宣言しているようなものであり、コンサルティングの本質ではない。(ただし中にはそれをうまくビジネスに落とし込んで稼いでいる人もいるようなので別にこれらを否定したいわけではない。単にこれらは「コンサルティングコンテンツではない」と言いたいだけである。)

 

しかし一方で状況によってはこのような作業がとてつもなく大事になる局面がある。そしてそのような状況で作業が強いジュニア(特にマネージャー)がいれば乗り切れるが、そのようなジュニアがいない場面が(望ましくはないが)たまに発生する。いわゆる炎上プロジェクトである。そんな状況のとき、スジとしてはプロジェクトのデリバリーに最終責任を持つパートナーが自ら腕をまくって作業に乗り出す必要がある。(理論上は自らの稼働を削って予算を捻り出して追加リソースを投入するかしかなくなるが、現実的にはこういった場面では時間的制約からできないことが多い。)

 

理屈の上ではパートナーはアソシエイトの下積みを経験しているためこのような作業もできるはずではあるが現実的には、それは昔のことで今はできなかったり、一部の作業はできても当該プロジェクトで必要な作業はできなかったりする。そうすると状況は八方塞がりになり結局のところはクライアントからの信頼を失うことになる。

 

一方でパートナーの中には「ワンマンアーミーモデル」とでも呼ぶべきスタイルでそのような状況を乗り越える人もいる。(大体10人に1~2人くらいの割合か?)このようなスタイルとのパートナーはアソシエイト時代から作業が得意でまた業界・機能の知見があるため、極めて効率的にジュニアワークからシニアワークまで一人でこなし、クライアントの期待に応えることができる水準のアウトプットまで出せるのである。これは言うまでもなく理想的な姿からはかけ離れているが、一方でこのようなデリバリーモデルができると最悪の事態は回避できるというある種の安心感はある。(もちろんそもそもそのよううな事態にならないことが一番である。)そしてそれは単にこのような状況を乗り越えるだけでなく、デリバリーを通じて(仮に「炎上」しなかったとしても)クライアントからの信頼を獲得できるため、長期的な関係構築にも寄与する。言い換えると作業というジュニアワークを極めるとそれ自体がシニアワークになるのである。

 

繰り返しになるが作業はコンサルティングの本質ではない。しかしそれを極めるとある種の命綱にはなるし、またそれ自体がシニアの価値に一つにつながることがあることは知っていても損はないかもしれない。