トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

コンサルティングファームと起業

スポンサーリンク

コンサルティングファーム出身の起業家は最近増えている印象がある。最近はコンサルティングファーム出身者が興した企業が毎年何社か上場しており、また今後数年はその傾向はさらに増えると個人的には思っている。

 

コンサルティングファーム出身者の企業家が多い理由は単純に出身者が増えている、ということもあるが、やはり起業とコンサルティングにはある種の親和性はあると思っている。しかし、これは考えてみるとこれは本来的にはおかしな話である。リクルートサイバーエージェントなどの新規事業を立ち上げること自体がオペレーティングモデルに組み込まれている会社ならいざ知らず、コンサルティングファームは当たり前ではあるがコンサルティングサービスを提供することを生業としている会社であり新規事業を立ち上げることが本業ではない。もちろんプロジェクトの中には新規事業戦略立案プロジェクトもあるが、それも数あるコンサルティングプロジェクトの僅かに過ぎず、また新規事業戦略立案と新規事業を興すことには天と地の差がある。そのため本来ならばコンサルティングと起業は親和性はないと思っている。

 

ただいくつかの環境要因から親和性が高いと思っている。まずはコンサルティングプロジェクトにおいては特にジュニアな人たちにとっては新しいテーマに触れることが多いため、本人にとって新しいことをやることに抵抗がないことが挙げられる。クライアント企業にとっては手がけている新しくない業界・テーマであってもジュニアなコンサルタントの場合、彼ら・彼女らにとっては新しいことが多い。そのため過去の知識がない中で何らかの判断をするという仕事に慣れている点は挙げられる。新卒コンサルティングからあるスタートアップのCOOになった人はこれを「自分の知識・知見が少ない分野であっても問題解決をする習慣が身についたことが役立っている」と表現してたし、別の人は「知的勇気が身についた」と表現していた。

 

またコンサルティングプロジェクトは毎回プロジェクトの立て付けが変わるためオペレーショナルな動き方(=同じことを繰り返し行うといった動き方)はしないため、やはり新しいことをやるのに慣れていると言える。数週間から数ヶ月のプロジェクト制で動くため比較的短い時間軸で動くことができる点でも新しいことをやるには向いている職種と言えるだろう。

 

仕事内容という意味では業界俯瞰をした考え方をするため業界の大きなトレンドを把握する、といったようなことは多少はプラスに働いているかもしれない。

 

また人という観点でもいくつか起業と親和性があると考えている。コンサルティングファームの仕事は時として精神的・肉体的にそれなりにハードであるとされているため、この業界に来る人たちはそれなりに「エネルギーレベルの高い」人たちが多い傾向があり、そのような人たちが一定の割合で起業するのはある意味自然なことといえるだろう。また周囲に起業して一定の成功を収めている人たちが多いため、「アイツが上手くいったなら自分だって」というような空気感がある印象がある。

 

働き方に関する価値観も挙げられるだろう。コンサルティング業界は平均勤続年数が短く転職に関する心理的な抵抗が低い。また特に若い人たちであれば起業がうまくいかなくても「ファームに出戻ったり他のファームに移ったり、また転職すればいい」と思っている人たちは多い印象であり、また多くの人は実際にそれをやろうと思えばそれなりの仕事が見つかることが多いように思える。そのため起業に対してあまりリスクを感じていない人が多い印象である。

 

最後に現実問題としては上記の理由から起業ネタを見つけるまでのいわばモラトリアム的にコンサルティングファームに就職している人も多いように見える。そしてそれは現実的な選択肢としては起業をする上でも悪くはないと私は考えている。

 

少しまとまりがなく色々と書いたが、仕事内容そのものはコンサルティングと起業は似ていなくても、上記のような理由からコンサルティング出身の起業家は多いのではないかと考えている。