トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

パートナーがコミットする

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たまにさまざまな事情で同業他社の報告書を見ることがある。(おそらくどのファームも原則として納品物である報告書はクライアント企業の外に出すことは禁じられているのが一般的だが、クライアント企業外にも開示できるような条件で作成された報告書もたまにある。)

 

そのような資料を見ると素直に出来が良くて感心する報告書もあるが、中にはとてつもなく質の低いものもある。最近、見たレポートは後者であった。事業の動的特性への考察が著しく甘く、有識者ヒアリングの対象もなぜか重要でない市場である日本に偏っており(英語ができるメンバーがいなかったのではないかと邪推している)、競合の名前も間違っており、またそもそも報告書のビジュアルも素人臭かった。まるで年次の浅いアソシエイトがパートナーのガイダンスなしに単独で作ったかのような酷い質のものであった。話をよくよく聞いてみると結局のところ、このファームのパートナーの当該クライアント企業に対するコミットメントが著しく低かったのが要因であると見られた。つまり、ある業界に区分される(仮にA業界と呼ぶ)このクライアント企業を担当するパートナーは居たものの、このプロジェクトではA業界の知見よりも異なるB業界の知見が必要であり、そのためにB業界に詳しい別のパートナーがプロジェクトに参画していた。しかしどちらのパートナーも本プロジェクトに対するコミットメントが低く野球でいうところと「お見合い」が起き、ボールが間に落ちてしまった模様である。(無論、本来ならばA業界を担当するパートナーが業界知見がなかったとしてもB業界に詳しいパートナーを「使いながら」品質担保をするべきである。)

 

コンサルティングのプロジェクトではパートナーが品質の責任を持つのであり、そのためパートナーがプロジェクトにコミットしていることが当たり前ではあるが大事である。コンサルティングファームを使い慣れているクライアント企業であると「このプロジェクトに対してどのパートナーが最終責任を持ち、何%の時間を使うのか?」という質問をし、明示的にコミットメントを求めてくる人もいる。しかし特に昨今のようにどのファームも忙しくなると、中にはコミットメントのレベルが低くなるプロジェクトも出てくるのだろう。

 

わざわざ高いフィーを払ってコンサルティングに依頼するような課題は、その出自からして解決の難易度は決して簡単ではない。それを肝に命じてパートナーはアカウントマネジメントやピッチだけでなくデリバリーにもコミットするべきであるし、またクライアント企業もそれを求めるべきなのだろう。