トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

女性の働き方に関する雑感 ー 解決策編

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前回エントリで述べた通り、企業には女性の就業率を上げるためインセンティブは(論理モデル上は)ないため、企業単独でこの問題を解決することは期待できないと述べた。そのため単独企業を超えた取り組みが必要であり、それは結局のところ政府の仕事だと思っている。その際には私は価値観の醸成とガイドラインの設定だと思っている。アナロジーとしてはクールビズが挙げられる。今でこそ比較的「固い」とされる金融機関のような会社であっても夏は勿論のこと冬でもノーネクタイを見かけることが多くなり、また外部の人と会うときであってもノーネクタイの人も見かけるようになった。これはある時から大本営方針のごとく政府がノーネクタイを推奨し、さらには震災の後の電力不足によりその機運はさらに高まったことが大きいと思っている。震災があった年の夏にネクタイをすることは少し大げさに書けば「非国民」である、と見られるようになった感すらある。これは政府主導である種の価値観を醸成したと捉えることはできるだろう。(最近では労働時間の削減も似たような様相を呈している。)

 

この考えを応用し、まずは政府主導で「男性も育休・時短を取得し、女性と均等に子育てをするべきである」という大本営方針を打ち出す。これは一度では効果がなく少なくとも5年は言い続ける必要がある。その上で大企業に対しては男女別の育休・時短の取得率を開示することを義務化する。(開示コストそのものは殆ど負担にならないはずである。)そのうえで政府は男女別の育休・時短の取得率の望ましい水準を公表するのである。これはあくまで政府の意向であり、企業はそれに従う義務はなくまた特に罰則などは設けない。

 

この施策の肝は開示義務を除いて特に企業に対しては強制せずに、価値観を醸成することにある。このような価値観が一旦醸成されるとさまざまな形で男性の育休・時短取得率の低い企業に企業に対するプレッシャーは掛かることは容易に想像できる。まず新聞や雑誌などで「男性育休取得率ワーストランキング」のようなものが作られるだろう。またESG投資などの一環として取得率の低い企業への投資は控えられるようになるかもしれない。就職・転職活動でも企業体質の把握の一環として見られるかもしれない。また取得率の低い企業の経営者はメディアなどに露出する際などに「どのように上げる予定か?」といった質問を受けるようになるだろう。(質問する方もその意義を個人としては信じていなかったとしても社会の価値感の観点から質問せざるを得ないようになる場合もあるだろう。)「恥の文化」とも言われる日本ではこのような社会的圧力は非常に有効であると考えられる。これが常態化すると徐々に実際の企業の男性社員に対する期待値も変わってくるだろう。重要なのは、社会が「男性も育休・時短を取得し、女性と均等に子育てをするべきである」という価値観も大義名分を持つようになることである。

 

「女性問題」は男性問題であり、その解決は個別企業の努力だけでなく社会全体の価値観を変える必要があるだろう。そしてそのためには政府主導である種の価値観・大義名分を作っていく必要があるのではないだろうか。