トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

将来予測の前提に関して

スポンサーリンク

当たり前の話ではあるが、将来を予測するのは難しい。例えば大型投資をして期待されるリターンが投資基準を満たすか否かを検討すると場合を考えてみる。このとき投資判断の方法の一つに将来にわたって生み出すキャッシュフローを現在価値に換算したものと投資額のどちらが大きいか、といった評価をすることがある。その評価をする上での肝は言うまでもなく、どのようなキャッシュフローを予測することであるが、それは将来予想であるため簡単ではないし、また100%の精度を担保することは不可能である。

 

このようなときにやりがちなのは悲観・現実・楽観ケースなどを作成し悲観ケースでも投資額を現在価値が上回る、といった場合に投資を実行する、といった発想をする。もちろんこれはこのアプローチで合理的であるが、この場合、各ケースの前提の変数の置き方が恣意的でないことを意識する必要がある。しかし前提の置き方が変数の数と各変数の幅の組み合わせがいくらでもあるため、結果としてケースの数はいくらでも増やせてしまう。

 

そのような事態を避けるために私はこのような悲観・現実・楽観ケースといった概念的には離散的な組み合わせではなく、連続的な組み合わせが望ましいと考えている。これは前提の中で特に重要な二変数を選択し、その組み合わせをマトリクス上で表現する方法である。例えば横軸に当該事業の売上高成長率、縦軸に売上高キャッシュフロー比率を取り、各軸で想定される最大値・最小値で範囲を規定してマトリクスを作成し、マトリクスのマス目に当該事業の現在価値を書くのである。(もちろんこの縦軸、横軸は理想的には二つの要素で全体を捉えることが望ましい。例えば市場規模と市場シェア、あるいは総台数と稼働率、といった具合である。)そうするとどのような組み合わせのときには現在価値が投資額を上回り、どんな組み合わせの時は成り立たないのかという、組み合わせが離散的な形ではなく、連続的な地平の中で示すことができるのである。(細かいが現在価値が投資額を上回るセルに色を付けると視覚的になり直感的になる。)

 

ここで伝えたいことは言うまでもなくこのマトリクスの作り方といったテクニカルな話ではない。重要なのは将来予測をしてなんらかの行動を起こす際に、「この行動は将来このようになるから成り立ちます」といった形で単発の予測をするのではなく、「この行動を正当化するためにはこのような範囲の前提が成り立つ必要です」といった前提を広がりの持った形であぶり出す、といった発想がある、ということである。このように発想を転換することで、将来予測の前提の幅が浮かび上がり、これによって「何に賭けているのか?」がより明確になるのである。また検証も最大値最小値を見れば良くなるため、検証もやりやすくなるのである。