トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

「意味合い」に関する雑感

スポンサーリンク

いわゆるロジカルシンキングの本を読むとファクトから「意味合い」を抽出するという表現をたまに見かける。意味合いの違う言い方としては、示唆、Implication, So What?, Synthesis、などが該当するが日本語だろうが英語だろうがこれらはどうにもわかりにくい。私自身、コンサルティングファームで働き始めたときも、Synthesisは何なのか?と訊かれてなかなか、その質問の意図がいまいち掴むことができなくて苦労した。ただ、この業界でそれなりの年数、働いている現在では当たり前のように使うようになってきた。

 

私は「意味合い」とは「行動するための事実の解釈である」と定義している。以前に書いた通り、空雨傘のフレームワークでいうところの雨に該当する。重要なのは雨は事実であり、事実は客観的であるのに対して、雨は文脈に依存した主観的なものである。ここでいう文脈とは無論、論点のことである。すなわち「傘を持って外出するべきか?』という論点に対して空という事実を見て、そこから「雨が降りそうである」という主観的な解釈が生まれる。そして適切な解釈をすれば行動が(本来的には)自明になるべきである。

 

この「意味合い」、英語でいうところのSynthesisという概念はSummaryと混同されがちなことは、一つ述べるに値することだと思っている。例えば、ある売上増加施策を導入した店舗と未導入の店舗の売上高の昨年対比として下記のようなデータがあったとする。

施策導入済A店:123%
施策導入済B店:119%
施策導入済C店:121%
施策未導入D店:101%
施策未導入E店:99%
施策未導入F店:102%

 

このようなデータを見たときに、この「意味合い」は「施策を導入した店舗は20%pt程度未導入の店舗に比べ売上高昨対が高い」としがちである。しかしこれはSummary、日本語で言えば要約であり、Synthesis、「意味合い」ではない。Synthesisは「施策は成果を上げている」である。しかし今、私はずるい説明をしている。何故ならばそもそも論点を明確化していないからである。ここでの論点は「売上増加施策を全店舗に展開するべきか?」となる。そのような文脈で上記の事実を見ると「施策は成果を上げている」という「意味合い」が抽出され、そして「売上増加施策を全店舗に展開するべきである」という(自明の)行動が導出されるのである。論点を意識した上で事実を見るとSummaryとSynthesisを混同しなくなるのである。

 

「意味合い」を抽出する、という言い方(概念)はさまざまな場面で使われる。だからこそ、そもそも「意味合い」とは何かは知っていて損はないだろう。