トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

スライド歩留まりにこだわる

スポンサーリンク

自分は割と効率的に仕事を進められる方だと思っている。少なくとも今のファームでの労働時間はジュニア時代からかなり短い一方で、昇進はかなり早い方だったので、仕事の効率は高かったと言っても問題ないだろう。

 

仕事を効率的に進めるコツは色々とあるが、その中の一つは「スライド歩留まり」にこだわっていることが挙げられる。(これが最大の要素だとは思っていないことは留意して欲しい。)経営コンサルティングのデリバリーの形態が多様化しているが戦略プロジェクトのデリバリーでは伝統的なパワーポイント方式の報告書とそのプレゼンテーションが今でも一般的である。もちろんプロジェクトで本当に価値があるのは報告書そのものではなく経営者との議論とそこから生まれた経営判断であるが、ここでは仮に報告書を最終成果物として捉えてみる。そのとき私は分母をプロジェクト期間中に作成したスライド、分子に実際に議論で使用したスライドを取った「スライド歩留まり」というKPIを自分なりに意識している。(と言っっても実際に測定したことはない。)たとえば6週間の戦略検討プロジェクトだったとすると報告書の本編の枚数は多くても100ページ程度であり、その中でも本当に議論に用いられるのは15-20枚程度が自分の肌感覚である。この時に私は「不要なスライドは作らない。作ったスライドは議論に使う」ということを強く意識している。

 

いくらスライド作成をサポートするバックオフィスが充実していてもスライドを描くのは時間が想像以上に掛かる。内容の推敲はもちろんのこと、細かいフォーマットや文言を直したりすると一枚のスライドを作成するだけでもあっという間に時間単位が費やされる。しかし周りを見ていると実際に時間をかけて作ったスライドがそもそも報告書の本編に入っていなかったり、入ってても議論に用いられないことが多々あるように見える。そして多くの戦略プロジェクトでは本当に鍵となるスライドはせいぜい5枚程度である。それ以外のスライドは極論すると完全な無駄である。もちろん中には社内で議論するためにその叩き台としてスライドが必要な場合もあるが、そのようなときは手書きまたはエクセルで十分なことも多々ある。(ただしパートナーによっては綺麗なスライドが用意されていないと怒り始める人もいる。個人的には賛同はできないことが多いが、現実問題としては留意が必要。)またスライドを大量に描くと結局は一枚一枚の品質は損なわれ、本当に重要なスライドの切れ味が鈍くなることが多い。いうまでもなくここでいう品質とは細かなフォーマットなどのことではなく、スライドに描かれているコンテンツのインテリジェンスの練り込み度合いのことである。

 

プロジェクトが終わったら実際に作ったスライドと実際にクライアントの議論で使われたスライドの割合を意識してみるといいだろう。驚くほど改善の余地があることに気付くはずである。