トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

戦略における内部環境と外部環境

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ビジネスのさまざまな場面で戦略という単語が使われる。以前にも書いた通り戦略という単語は人によって定義が異なっており(経営学者含む)、またそもそも定義を曖昧なまま使っている人も多い印象である。私自身は仮に戦略を定義するならば「ある組織が、掲げているある目標を達成するために取るべき施策である。そしてその施策には『どこで活動するべきか』(外部環境)と『どのように経営資源を投下するべきか』(内部環境)が明確化されている必要がある」といった風になる。少なくともこれらが明確になっていれば実務的には行動に起こせる。

 

この定義の背景には
①外部環境と内部環境を切り分けるべき
②内部環境は経営資源の投下の視点で考えるべき
という考えがある。

 

前者は比較的単純であり、よく言われていることであり特に述べるまでもない。この考え方は有名なBCGのプロダクトポートフォリオマトリクスでも縦軸と横軸がそれぞれ外部環境、内部環境に対応しているし、また戦略の”Where to play” “How to play”といったフレームワークもその考え方が背景にはある。

 

後者に関しては少し補足が必要である。プロダクトポートフォリオマトリクス(PPM)の横軸は相対シェアであり、概念としては内部環境の要素を含んでいる。「概念としては」「要素を含んでいる」というまどろっこしい表現をしたのは、これは厳密には内部環境ではないと思っている。なぜならばシェアを取れるか否かは直接的には制御不能であるためである。もちろん、さまざまな経営資源を投下することでシェアアップできる可能性は高まるが、そこには不確実性があり、あくまで活動の結果である。(注釈するとPPMが生まれた時代には、シェア獲得にはコスト競争力が重要であり、それは経験曲線に基づく考えでは累積生産量が決まるため、生産量という直接制御可能なものを変えれば、自ずとシェアは決まるために、シェアは内部環境であるという考えになっている。)従ってたまに見る「我が社の戦略はXX技術を活用できるニッチセグメントでトップシェアを取るこである」といった表現は戦略としては不十分であると思っている。この表現ではどこで戦うのかは明確であるが、トップシェアを取ることはあくまでも目標(願望)であり、結果であり、影響は与えられても直接制御不能である。そうではなく内部環境はあくまでも直接制御可能なものと捉えるべきであり、それは結局のところ経営資源の投下の仕方であると私は考えている。どの分野にどれだけ研究開発リソースを投入するのか、工場を持つのか外製するのか、代理店を活用するのか直販体制を敷くのか、といったものは全て経営資源の投下であり、それらは直接制御可能である。そのため”How to play”は煎じ詰めると個人的には経営資源の投下の仕方だと思っている。

 

これはあくまでも戦略に対する一つの考え方ではあるが、戦略検討時は外部環境と内部環境が分離されていること、内部環境は経営資源の投下に立脚して考えられていること、は意識してみるといいだろう。逆を言えばそれらが満たされていないと戦略としては十分でない可能性が高い。「戦略立案」という名の下、膨大な調査を行なっていても肝心のこの2点が明確になっていなければそれは「戦略ではない何か」であるといえるだろう。