トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

規律ある企業買収

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一部の企業買収を生業とする人たちが絶賛していた日本電産の永守社長の海外買収に関する講演をYoutubeで観たが、確かに非常に面白いものであった。

https://m.youtube.com/watch?v=VjB4QdhC3gk

 

概略としては、氏が企業買収をする場合は①独自の「永守式企業価値算定方式」に則り、それ以上の値段ではどんなに魅力的な会社であっても買わないこと、②PMIは日本人は送り込まず被買収会社のことを理解した経営者に任せ、同社はあくまでも株主としてのガバナンスを効かせること、③シナジーを発揮するためには予め買収する企業群の順番を決めておきそれに沿って買収すること、が大事である、と言える。①の買収価格に関しては目を付けていた企業が適正な水準で売りになるまでとにかく待つこと(最長で16年まで待ったとのこと)、逆を言えば辛抱強く待ちさえすればいずれ必ず変えること、②PMIに関しては日本電産シナジー発揮のサポーターとして手助けは提案するがあくまでも経営は被買収会社の経営者に任せ、株主として実績を元に経営者を評価し必要に応じて変えること、③シナジーに関しては買収候補の企業群を買う順番とともにリスト化をし目指すべき企業体のイメージを持っておく、とのことである。

 

概略だけを書くと一つ一つはどこかで聞いたことがある内容に見えるが、講演を聴く限りは同社(同氏)はそれを徹底して実行しているような印象である。講演時点で56件の買収を行なっているとのことである、これは年間に2~3件のペースで実施してきたことを意味する。つまり同社にとってM&Aというものは非日常ではなく、通常の業務であると言えるだろう。M&Aを「通常業務」として捉えると、他の業務同様に業務の「型」が必要でありまたそれを規律を持って実行することが大事といえるだろう。翻って買収を行なっている他の企業は仮にこの型を知っていたとしても、ここまでの規律を徹底しているかと言われれば大半はノーだろう。一見、当たり前のことであってもそれを徹底することが重要なのである。(同社の社是のようなものの一つに「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」もこの徹底した企業体質を物語っているだろう。)

 

企業買収に関心のある方は「規律」というキーワードを軸にこの講演を観てみるといいかもしれない。