トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

鬼怒川ゴムのオペレーション改革

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昨日のオペレーション改善が経営課題になり得る、という事例の紹介エントリ。

 

鬼怒川ゴム(通称鬼ゴム)という自動車部品メーカーがある。この会社は主に四輪向けドアシールを製造する会社で2016年に政策投資銀行に買収されるまでは日産系列の会社であった。この会社の売上高は500-600億円程度を推移しており、営業利益率は2008年度頃までは3-5%程度と低い水準であった。これは親会社から「生かさず殺さず」の状態にされている系列系自動車部品メーカーの典型であったという見方もできる。ところが09年度から売上高はほとんど増えていないにも関わらず突然利益率が上昇しそれ以降は10%を超える水準が定位置となった。これは明らかに普通の動きではない。つまり何かが起きたのである。

 

何が起きたのかは簡単で社長が変わったのである。09年に社長に新たに就任した関山社長はオペレーションの改善に相当のエネルギーを費やした。大きな取り組みの一つにセル生産方式を導入が挙げられる。これは同方式で有名なキヤノンからも学んだ模様であり、また社長自らが気になった会社宛てに手紙を書き教えを乞うたそうだ。また工場に世界共通のKPIを導入し、工場内に幅10mの巨大なダッシュボードを掲示し、各工場のKPIの推移が見えるようにした。そしてこのKPIを工場間で比較し効率の高い工場に仕事が振られ、効率の悪い工場は「社内失注」するようになった。社長の工場訪問の回数も著しく増え現場の意識改革にも取り組んだとのことである。その結果、この規模の自動車の系列部品メーカーとしては異例の営業利益率二桁を連続して達成するようになった。

 

関山社長の危機感としては日産からの増産は見込めず、他社からの受注にも時間がかかるため、トップラインの上昇は短期的には見込めない一方で、営業利益率は1桁台前半であり、社長の目からはまだまだ改善の余地があるように映ったのである。つまりオペレーションの改善が経営テーマであったのである。

 

オペレーション改善というものは目新しいものではなく、大企業であれば程度の差こそあれ取り組みそのものは行なっているものである。しかし経営としてそれをお題目ではなく本気になって取り組めば、思っている以上に成果を挙げることができるのである。