トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

経営視点でオペレーションを考える

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コンサルティングファームは最近、主要ファームはどこも忙しい。場合によってはどこも忙しいようで、数週間の単発もののプロジェクトを引き受けてくれるファームを探したら複数のファームから断られた、みたいな話を複数のクライアントから聞く。主要戦略コンサルティングファームに限れば、全体としては2000年代に入ってからはおそらく最も忙しいと思われ、もしかしたら歴史的に見ても日本の経営コンサルティング業界史上、最も忙しい可能性すらあると思っている。理由はいくつかあるが大まかにいうならば、①自前主義から脱却しコンサルティングファームを利用することに抵抗がなくなってきたこと、②技術革新、マクロトレンドなどの事業環境の変化で外部の力を活用したくなる場面に直面する機会が多くなってきたこと、の二つであると考えている。

 

このようにコンサルティングサービスが普及するとコンサルティングファームとしては当然ながらより長期間にわたって支援できるようなプロジェクトを優先する傾向がある。コンサルティングは本質的には人足商売のため期間とクライアント企業への価値提供は概ね比例するため、もしもよりクライアント企業に貢献したいと思うならばより長期間にわたって支援するプロジェクトを優先する、というのが理屈である。(これはコンサルティングはビジネス「ではない」、という発想が根底にはある。現実的にはパートナーのインセンティブ上、長期プロジェクトを提案するという傾向はある。)そして長期間のプロジェクトが増えるとそれはいわゆる戦略系プロジェクトではなくオペレーション系プロジェクトが増えることを意味する。

 

一般に戦略コンサルティングファームのプロジェクトは大きくは戦略立案を支援する戦略系プロジェクトとさまざまなオペレーションの改善を支援するオペレーション系プロジェクトに大きく分けられ、実際のデリバリーの実務もかなり変わってくる。そしてこの業界に入社する人の多くはどちらかというと前者の戦略系をイメージして、あるいはそれをやりたくて入社してきていることが多いため、当初の想定とは違うオペレーション系プロジェクトに多くアサインされると中にはモチベーションを落とす人もいる。(もちろん想定とは違ったが、むしろオペレーション系の方が好きという人もいる。)私自身も好みとしては戦略系の方が好きであり基本的に九割くらいは戦略系をやっている。

 

ただオペレーション改善プロジェクトであっても経営コンサルティングを生業とするファームに依頼するには何か理由があると思っている。単純にオペレーション改善「だけ」であれば(品質は不明だが)他にもっと単価の安いファームに依頼できるはずである。それをせずに経営コンサルタントに依頼するということは、オペレーションに関するところであってもそれが何らかの理由で経営視点で重要であるからこそ、経営視点でオペレーションを考えられる経営コンサルティングファームに仕事を依頼すると考えられる。そうであるならば、ピッチやアカウントマネジメントには関わらないマネージャー・アソシエイトでオペレーション案件にデモチしている人たちは、今のプロジェクトが経営上どのように位置づけられるのかを今一度、考えてみるといいと思っている。(もちろんデモチしていたなかったとしても自分が担当するプロジェクトが経営者からはどのように位置づけられているのかはいずれにせよ理解するべきではある。)それをすると目の前の仕事の見え方は変わり、またクライアント企業への価値提供も変わると思っている。また副産物としてモチベーションも上がるかもしれない。ただし私自身は綺麗ごとだけを書くつもりはない。いくら経営上の位置づけが分かったところで目の前の業務が面白くないことには変わらない時も多い。自分の感情を偽るべきではない。ただ経営視点で今のプロジェクトを見ると案外、気付かなかったことが浮かび上がったり、新たな面白さが見いだせる場合も多々ある。

 

経営コンサルティングファームで働いている以上は常に物事の経営的な位置づけを考えるべきなのである。