トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

非合理を合理化する

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長期投資を行うあるヘッジファンドのCIOが「マルチプルの切り上がりに投資するのは基本的に良くない。それは市場が間違っている、つまり『市場はバカで、オレは賢い』と言っているようなものであるが、そんなことはまずない。もちろんよほど何か理由があれば別だが原則としてはマルチプルの切り上がりではなく利益成長に投資するべきである」という旨を言っていた。これは非常に説得力のある考え方であると思っているが、これは株式投資に限らずに当てはまる概念だと思っている。

 

例えばある製品・サービスをある顧客が購入したとすると、外部からはどんなにぼったくりに見えようが、あるいは買い叩かれているように見えようが、それは「正しい」と思うべきである。結局、これも製品・サービス市場という一つの市場における取引であると見ることができる。もしも一見、不可解な動きをしていたとしてもそれは顧客や提供者が愚かなのではなく、何か自分が気づいていない前提があり一見すると不可解な動きを一見している、と思うべきである。あくまでおかしいのは顧客や提供者ではなく自分であるとまずは考えるべきある。プライシングも同様である。価格政策は現実問題としては結構、雑に決められており、かなり合理的でない部分もあるが、一見高い製品やサービスがあったとしてもそれが売れているのであれば、それは提供者がぼったくっている訳ではなく、そこには何か価値があると考えるべきである。雇用も同様である。これも労働市場という一つの市場の中の取引と見ることができる。

 

もちろん色々と考えた結果、非効率が存在している場合もある。株式市場ですら必ずしも効率的ではないとも言われており、それよりも取引回数が少ない製品・サービス市場や労働市場ではさらに効率的ではないだろう。しかし重要なのは短絡的に顧客がおかしいと考えるべきではなく、自分が何か見落としていると考える、言い換えると非合理を合理化する、そんな習慣を身につけることだろう。