トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

フリーランスで働く

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フリーランスという働き方が増えてきている印象である。おそらく統計的に見るとまだまだ企業で働くことが一般的であると思うが、20-30代の優秀でエネルギーに溢れる人たちの中では一つの選択肢になりつつあるように見える。私自身も実は二年半ほど会社に所属せずに働いたことがある。といってもその経緯はかなりいい加減なものであり、また特にフリーランス的な生き方を目指したわけではなく、行き当たりばったりでなったようなものである。どちらかというと期間限定での働き方のようなものであり、フリーになった当初からしばらくしたら勤め人に戻る予定があり、実際そのようになった。そのため「フリーランス論」を語ることはできないし、する気もないが、とはいえ曲がりなりにも二年半ほど働くことでいくつかの気づきはあったのでそれを少し書いていきたい。(なおこれから述べるのはコンサルティングを念頭に置いていることには留意してもらいたい。)

 

まずは案外若くても下請けであればほぼ無尽蔵に仕事はあるし、食っていけるということである。コンサルティングファームのパートナークラスで独立した人たち中小ファームはそれなりの数存在し、そのようなファームはパートナーは仕事は取れるがデリバリーができる人材が少ない、という問題に多く直面している。独立するようなパートナーはある程度、クライアントの当てがあって独立しているため、仕事はそれなりに受注できる。一方で優秀な若手でそのような中小ファームではなく大手を志向するため、デリバリーを担当するマネージャー以下が極端に不足している。加えてコンサルティングファーム出身で起業をしているが当面はコンサルティングで日銭を稼ぐ、といった二束わらじの働き方をしている人も多い。更にかなり有名な戦略コンサルティングファームであっても中小規模だと案外、外部の人を活用しているところもある。これまで見た中で一番酷かったのはある大手金融機関が買収候補のスキャニングをするプロジェクトをある事業会社から受注し、それをある中小コンサルティングファームに外注し、そこにデリバリー出来る人がいないのでそのファームのパートナーの前職時代の同僚の別の零細スタートアップに外注し、さらにその零細スタートアップがデリバリーをするアソシエイトを探した、みたいな案件である。つまり事業会社→金融機関→中小ファーム→零細スタートアップ→フリーランス、という5階層になっており、各階層で口銭が発生するというSI業界や建設業界と全く同じ構造である。そのためそのような人たちとつながりを持っていると案外、仕事には困らないのである。大事なのはそのような人と繋がりを持っておくことである。

 

一方、下請けではなくプライマリで案件を取るとなると少し話が違ってくる。やはり若くてプライマリを獲得するのはそれなりに大変であり、プライマリを目指すならば(長期的にやるならば絶対に目指すべき)そのために戦略的に時間を使うべきである。戦略的に、というのはプライマリで案件を取ることを目的とした活動に時間を投入する、という意味である。そのための手段は幅広いが定石は比較的外部人材活用に寛容な(言い換えると古臭くない体質の)大企業の部長クラスやスタートアップの経営陣クラスが集まる何らかの集まりに顔を出すことである。それは何らかの業界団体のイベントの事務局をやることであったり、何らかの会合に出たりすることである。重要なのは何かの目的がある会に出ることであり、決していわゆる異業種交流会のような会うことが目的のイベントに出ることではない。何らかの共通の目的がなく「知り合うことが目的」のような会はロクでもないことが多い。異業種交流会に出るくらいなら合コンというある種の共通の目的に出たほうがマシである。(案外、合コンが仕事に繋がることもある。)私自身も2年半の中で何件かプライマリを取れたが、これは結局のところ以前の知り合いの仕事を手伝ったことがきっかけで新たに知り合った人から受注した、といった形であった。いずれにせよプライマリを取るためにはそのような人と知り合うことを目的に戦略的に動く必要がある。

 

報酬に関しても悪くはない。少し生々しい数字を出すと、私自身はアソシエイトクラスでこの働き方をしていたとき自分は一日の単価が8万円を切る仕事はやらないと決めていたし実際にその基準は守れた。プロジェクト単価は週3日稼働で8週間で概ね200万円である。年間50週としてフル稼働で2,000万円、ただそんなに都合よく仕事が立て続けに埋まることはないので80%稼働で1,600万円、60%稼働で1,200万円といった具合である。週3-4日働けば大手コンサルティングファームのアソシエイトと同じ給与水準となるので時給で見ると悪くない。稼働している一日もファームに所属するよりははるかに労働時間は時間は短かった。朝は昼少し前に起きて昼ご飯を食べてから仕事をし始めて夜8時くらいには終わっている、くらいのイメージである。また勤め人よりも色々と費用計上できるため、税引後の所得はやはりフリーランスの方がいい。(私は合同会社を設立して仕事をしていた。)自分の感覚的な目安としてはマネージャークラスならパーディアムが10万円、プリンシパルクラスなら15万円、パートナークラスなら20万円くらいの案件は戦略コンサルティングファーム出身なら受注できる自信と実力は持っておくべきだと思っている。(なおプリンシパル、パートナークラスだとデリバリーに対する関与が低くなるため、例えば8週間のプロジェクトであっても一つの案件に対するチャージ日数=稼働は低くなる。)

 

ダウンサイドとしてフリーになると「出来て当たり前、出来ないと炎上」みたいな仕事になり、結局学びが少ないと言われることがあるが、コンサルティングであればそこまでではなかっと思っている。もちろん相対的にはファームにいた時の方が学びは大きかったが、それでも学びはあった。理由は一緒に組んでいたパートナークラスの人(私にとっての実質的な師匠のような人)と働き、その人から学べたことが大きかった。フリーで働いていてもアソシエイト・マネージャーまでの働き方であれば必ずパートナー的な役回りの人とも仕事をするので、彼ら・彼女らからは学べる。

 

なお副産物的にはフリーランスで働いてみると案外食えることが分かり、結果として「最悪嫌ならフリーで食っていける」という自信ができ、結果とし今の仕事が嫌ならいつでも辞められる、という健全なマインドセットが生まれる。これは精神衛生上、健全なことだと思っている。

 

色々と書いたが、フリーランス的なコンサルティングの働き方は若くてもデリバリー主体なら年収ベースで1,000-3,000万円くらいなら思っているよりも低いハードルであることは知っていても悪くないだろう。