トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

投資は気合い

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随分昔にあるプライベートエクイティ(PE)ファンドの投資検討の支援を行ったことがあった。さまざまな視点から検討したものの、結局、プロジェクトの終盤に本件の実務をリードしていたディレクタークラスの人が投資検討の中止を連絡してきた。理由は事業の根本的な構造に関わるものであったが、その中でふとその担当ディレクターが「どうにもこの投資案件に気乗りしていなかったんですよね」とボソっと呟いたことがあった。これはある意味でとても記憶に残ったし、また判断として正しいのだろうという印象を持った。

 

一般にPEのディレクターは買収の実務の中核を担い、また買収後のバリューアップもリードする立場となる。そんな役割を果たすディレクターが気乗りしないならば、それはバリューアップの際には投資先企業の経営者・社員にも伝わるし、またそもそも投資委員会を通過することも難しいように思える。私が尊敬する、投資委員会方式を採るある長期投資のヘッジファンドのCIO (Chief Investment Officer)も「投資は気合い」ということを常々言っている。このCIOは私が知るビジネスパーソンの中でもかなりロジカルな人ではあるが、そんな人であっても、あるいはそんな人だからこそ、投資における熱量を重視していた。投資は一見、リスク・リターンという無味乾燥とした数字だけの世界のように見えるが、現実には情熱が大事なのである。投資担当者が相当な情熱を持たない限り投資委員会は通過できないし、また彼の経験からも投資が成功しないのである。上場株でも「気合い」が必要であり、ましてはバリューアップが求められるPE投資ではその傾向はさらに顕著だろう。

 

以前からも書いている通り、投資に限らずビジネスは感情であり情熱が必要なのである。だからこそ感情が乗らないのであれば、その仕事からは降りるべきなのだろう。