トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

無意識のキャップ

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極私的なエントリ。

 

シリコンバレーベンチャー投資をしていた知人がいる。彼はシリコンバレーで次々と革新的な製品・サービスがスタートアップ企業から生まれる大きな要因としてそのメンタリティがあるという持論を持っている。具体的には周囲で昔から知っている知り合いが次々に「成功」(この単語は好きではないが便宜上使用している)しているのを見ると人は「(あんなに普通だった)アイツでも成功するんだから自分だってやれば成功する」と思うようになり、実際にやってみるとかなりの確率で「成功」する、という説であった。これは結局のところ「普通だった人が次々と成功する環境」にいると①そもそも挑戦するようになる、②自分も「成功」できるというマインドセットが実際に「成功」に寄与する、という二点なのだろう。

 

特に後者の「自分がやったことは必ずうまくいく」「自分は成功する」といった自身の将来に対する自己肯定を持っておくことは(なかなか科学的に証明することは難しが)非常に大事だと考えられる。あまり精神論に依拠したくはないが、さまざまな所で言われている通り心の底で「自分はうまくいく」と思っている人はうまくいくし、「自分はうまくいかない」と思っている人はうまくいかないのだろう。これが言い過ぎならば、少なくともその確率は大きく変わるだろう。

 

翻って自分自身を振り返ると、心のどこかに「自分はプロフェッショナルキャリアでいずれ行き詰まる」という思いが常に存在することに最近気付いた。少し理屈を述べるならば経営コンサルティングにおいてはシニアになればなるほどシニアクライアントとの関係構築が重要になってくる。一方で自分自身は友人の数も少なく人間付き合いは極端に苦手である。そのためこのような人間はいずれ行き詰まるという結論に達しているのである。ただ最近はこのような考えが心の根底に存在するがために自分自身のプロフェッショナルキャリアの可能性を無意味にキャップを掛けてしまっているようにも思えてきている。

 

一方で別の見方もできる。今の職業ではジュニアな職位でもジュニアとはいえない職位になっても常に上位10-20%程度のパフォーマンスは出しており、結果として昇進もかなり早い方だった。当然、職位が上がるに従ってクライアントとの関係構築も求められてきたが、今のところは(外形的には)それができていると言える。そのため少なくとも過去のパフォーマンスを見る限り当面は行き詰まることはないと考えるのが自然である。そして何よりもこのような非生産的な考え方は持つべきではないだろう。このような考え方を持つことは害こそあれ利はほとんどないと言っていいだろう。

 

現時点においては「何を」すればいいかは明確だ。ただ「どう」すればいいかは正直、全くわからない。もしかしたら毎日、風呂で「自分はできる」と100回叫ぶ習慣を身につければいいのかもしれない。キャリアカウンセリングを受ければいいのかもしれない。あるいは自分の心理状態を注意深く観察し、先の考え方が観測できたらすぐに意識的にそれを否定し、自分はうまくいくと言い聞かせればいいのかもしれない。本当に皆目見当がついていない。 特にこのような考え方をする背景には、自分のこれまでの経験や自分自身の根本的な人格が存在するのであり、かなり根深いものである。おそらく魔法の杖はなく何年も意識することが大事だと思っている。

 

おそらく私以外にも自身の可能性に対して不必要にキャップを掛けるという行為を無意識にしている人も多いのではないだろうか。それに対してどのように対処すればいいかは分からないが、少なくともそのようなキャップを自身に知らず知らずのうちに課していないかどうか、は注意深く観察してもいいかもしれない。