トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

プロセスに逃げない

スポンサーリンク

イケてない仕事っぷりの典型の一つにプロセスとコンテンツを区別できないことが挙げられる。プロセスというのは段取りのことであり、コンテンツは文字通り仕事の中身そのもであり(ややトートロジーになっているが)、生産工学的な発想を持ち込めば、前者は非付加価値作業(付随作業)であり、後者は付加価値作業(正味作業)である。例えば「市場が今後どれだけ伸びると想定するべきか?」という論点に対して、市場調査レポートを入手する方法やヒアリングをする専門家を選定することなどは全てプロセスであり、市場レポートで書いてあること専門家の知見、そしてそれらを綜合して構築された独自の見解がコンテンツである。もちろん報告会の打ち合わせの日程などはプロセスである。

 

このように書くと当たり前のように見えるかもしれないが、社内・社外の議論をよくよくプロセスとコンテンツに切り分けて聞いてみると驚くほどプロセスの話が多いことに気付く。いうまでもなくシニアになればなるほど、プロセスには興味がなくコンテンツを聞きたいしその話をしたい。しかし想像しているよりも人はプロセスの話をしがちである。特に一見コンテンツっぽく見えるプロセスの話をしがちである。例えば会議の日程などは明らかにプロセスの話であり、それをシニアな人に対して話すことは流石に少ないが、解き方の話をすることは想像以上に多い。例えば「ある企業の価格政策は最適化されているか?」という問いに対して「今、値引きとリベートと設計変更のチャージの3点で価格政策が最適化されているかどうか検証中です」という回答や「現在、正規価格からどのような値引きなどが発生しているかを主要300顧客で分析中です」といった回答をしがちである。これらは一見するとコンテンツのように見えるが、これらはあくまでプロセスである。知りたいことはあくまで価格政策が最適化されているか否かであり、その検証方法は(極端に言えば)どうでもいいのである。少なくともシニアクライアントは興味がない。

 

このような回答しがちなのはコンテンツの話をするのは難しく、プロセスの話をするのは楽だからである。言い換えるとプロセスに逃げているのである。プロセスであってももちろん工夫が必要な場合もあるが、プロセスは頭をあまり使わずにできるのに対して、コンテンツを考えるのは、特にシニアなクライアントにとって意味のあるコンテンツを見つけるのは大変なのである。そのため多くの人はプロセスに逃げる傾向がある。もちろんプロセスは必要であるし場合によっては議論する必要があることもある。その場合は明確に今からプロセスの話をする、と宣言し、極力短時間でプロセスの議論しクローズした上でコンテンツの話に移るべきなのである。

 

プロセスの話をしているのかコンテンツの話をしているのかは意識するべきである。そしてプロセスの話は最小化するべきである。プロセスに逃げてはならないのである。