トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

感情と意思決定

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近所にパン屋の名店がある。ここは味が美味しいことに加えて、惣菜が充実しておりまた夜遅くまで空いていることから何かと使い勝手がいい。ただし一つだけ不満もある。(店の構造上仕方ないことではあるが)店が狭いため、お客がパンを取る方式ではなく、列に並んで一人一人店員がカウンター越しでお客が指定したパンを取り上げる方式を採っている店である。そのため行列ができやすい。

 

お客がパンを選んで店員に商品を取ってもらう工程がボトルネック工程であるため、生産工学的にはとにかくこの工程の時間を短くすることが行列をなくし全体のスループットを増やし売上向上につながる訳であるが、お客の中には自分の番が来てから商品を迷い始める人が結構いる。行列に並んでいる間に十分考えられる時間があるにも関わらず、である。これは列に並んでいる立場からすると正直、イライラするし、また店に対して機会損失コストを負担させていると思われる。

 

しかしよくよくこの光景をもう少し見ていると一つの傾向に気付く。それはこのようなことをしやすい人たちは傾向として①中年女性、②中年男性、③若い男女の順である。これは少なくとも傾向としては顕著に存在している。これは見方を変えると先ほどの順で決断できなくなってきている、と捉えることもできるだろう。この現象は、(a)加齢に従って意思決定ができなってくる、(b)中年女性より中年男性の方が仕事をしている割合が高く、仕事を通じて決めるという行為をすることがトレーニングされている、の二つであると理解している。

 

ずいぶん昔に脳において決断をする部位と感情を司る部位は同じであるという話を聞いたことがある。事故でこの部位に障害をもった人は感情がなくなり、また意思決定ができなくなるらしい。これらを総合すると一つの仮説として、加齢に従いこの部位の機能が低下し、感情がなくなりまた意思決定ができなくなる、と考えられる。もしそうであれば感情を失わないように意識すれば、当該部位の機能低下が抑えられ、結果として歳をとっても豊かな感情を維持できるとともに意思決定をする力の低下も抑えられるかもしれない。これは中年以降でも魅力的でかつ仕事ができる人たちは感情が豊かな傾向があるという私の実感とも合う。

 

感情を大事にすることは意思決定力を維持する、という点においても大事なのかもしれない。