トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

人間の固有スケール

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人間には固有のスケールがあると思っている。ここでいうスケールとは、物事をどれだけ大きく考えられるか、である。恥ずかしい話だが、新卒3年目くらいの時に以前にどんな事業でも自分が起業して成功できるとしたらどんな事業が考えられるかを想像(というよりも無想)してみたことがあったが、どれも極めてスケールの小さなものであった。せいぜい売上高100億円程度が妄想であっても限界でそれ以上は想像すらできなかった。一方で世の中には圧倒的に大きなスケールで物事を自然に考えるし、行動できている人たちもいる。

 

先程の個人的な話はあくまで妄想レベルの話であったので、仮にある人のスケールを「その人が直接影響を及ぼせる金額」と定義して定量化したとする。ここでいう直接動かせる、というのは注意が必要である。売上高1兆円の会社の社長であっても事業部が強かったりすると、往々にして動かせる範囲は案外小さいことも多い。一方で売上高500億円の会社であってもオーナー企業であれば数百億円を動かせることもある。いうまでもなくこの定義はあくまでもスケール感を便宜的に強引に定量化しているのであり、重要なのは直接影響を及ぼせる金額そのもではなく物事を考えられるスケール感が大事であり本エントリで述べたいことである。もちろん人間のスケールは必ずしも金額換算できるものではなく、直接影響を及ぼせる金額は小さくても大きなスケールを持っている人もいるが、本エントリでは一旦そのような事例は割愛する。

 

私は日本人で最もスケールの大きな人は孫正義氏であると思っている。彼はおそらく10-20兆円のスケールの人だと思う。次いでユニクロの柳井氏、日本電産の永守氏が5-10兆円のスケールの人だと思っている。その次は恐らく楽天の三木谷氏、次いでZozoの前澤氏で規模は5000-1兆円といったところだろうか。私が尊敬し、直接仕事をさせて頂いたこともあるある売上高5000億円くらいの企業の比較的有名なあるサラリーマン社長はスケールでいうと500-1000億円とだと思っている。いわゆる日系大手企業の普通の社員であれば5000万円-1億円といったところだと思っている。もちろん社員の中には職務上、自分の権限の元に数十億円を動かしている人もいるが(例:銅トレーダーなど)、定義の箇所で述べた通り、物事を発想するスケールでは1億円程度の人が多い印象である。仕事の面では大企業だと1億円を超えると殆どの場合は社内決済が必要であり自分の権限のみで動かすことは難しく、また個人の資産の面でも住宅ローンなどを組み合わせて動かせる金額は1億円程度が一般的であろう。繰り返しにはなるがここで金額を用いて定量化しているのはあくまで便宜的なものであり、重要なのは発想のスケールである。どれたけのスケールを自分ごととして考えられるか、である。

 

仮に上記であったとすると、次の問いは「個人は自身の固有のスケールを大きくすることができるか?」であり、そして「もしYesだとすると、どのようにしてスケールを大きくすることができるか?」だと思う。最初の問いに対して私はYesであると思っている。まずそもそも人間は子供から大人になる過程でスケールは大きくなっているだろう。孫正義氏も高校生としてはスケールの大きな人だったとは思われるが、少なくとも10兆円の規模では考えていなかったのではないだろうか。柳井氏も自身が大学生の頃は麻雀などにしか興味のない学生であったと回顧しており、恐らくは今のようなスケールはなかったと思われる。つまり少なくとも「人間」は固有スケールは不変なものではなく、可変なものであることを示唆している。では大人になってからも可変なものなのか?ということに関しても上記と同じ論理展開からYesと言えるだろう。つまり大人になってからスケールが拡大した人たちは大勢いる(ようにみえる)。

 

では後者の問い、つまりHowに関しては結局のところ「付き合う人を選ぶ」「多少無理をしてでもスケールの大きいことを考える習慣を身につける」ということだと思っている。シリコンバレーでVC投資をしていた知人も西海岸にいると周りで成功している人たちがたくさん居るため自分も成功すると根拠なく思える空気があり、実際に起業してみると成功する人が多い、と言っていたのが印象的である。自分自身を振り返っても大学3年くらいまでは自分は比較的無気力な大学生であったと思う。ただいくつかのきっかけがあってそれまでとは違う人たちと付き合うようになり、結果として想定していたものとは大分異なるキャリアを歩むようになり結果として、付き合う人も大きく変わったと思う。それによって恐らく、それまで想定したキャリアを進んだ時に持っていたであろうスケール感よりは多少は大きなスケールで物事を考えられるようになったと思っている。

 

人間には固有のスケールがあり、それはなかなか動くものではないが、決して不変なものではなく可変なものである。そしてスケールを大きくしたいのであれば付き合う人を選ぶべきではないだろうか。