トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

オペレーションを舐めない

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経営コンサルティングファームを「卒業」して起業する人が若手を中心に増えている。周囲を見ていてもかなり順調な人が多いが一方でいくつか、経営コンサルティング出身者に多い失敗があるようにも見える。そのうちの一つにオペレーションを軽視しがちなことが挙げられる。

 

何らかの事業を確立すると必然的に製品・サービスを顧客に提供するために繰り返し発生する実務、つまりオペレーションが発生する。しかし経営コンサルティングファームにいると定常的に発生するオペレーションに関する感度が著しく低い場合が多い。経営コンサルティングにおけるプロジェクトはざっくりと戦略とオペレーションのプロジェクトに二分されるが、前者は言うまでもなく組織で繰り返し実施する性質のものではなく、また後者もあくまでオペレーションを改善したり、新たに設計したりする性質のものでありやはり繰り返し行われるものではない。また経営コンサルティングファーム自身のオペレーションは多くの場合、強力な管理部門が充実しているためコンサルタントが関わることは少ない。そのため知らず知らずのうちにコンサルタントはオペレーションを軽視する傾向があるように見える。

 

しかし実際に事業を確立しオぺレーションを回し始めるとほぼ間違いなくさまざまな想定外のことが起こり、そもそもオペレーションを回すこと自体の難しさに気付く。ある有名な食品ECは物流のオペレーションに相当苦労し、かなりの規模になった後でも正月になるとおせちのデリバリーに問題が発生し、社員が正月に顧客のところに手渡しでおせちを届けていた。また特に現金を扱うような事業であれば、社員や関係者が不正を働いて問題が生じることもある。労働集約型の事業では社員やアルバイトの間での色恋沙汰や人間関係で揉めてオペレーションに響くこともある。協力会社の都合で仕入れが滞ったり顧客の振込が遅れたりすることもある。このようになかなかコンサルタントが描く「綺麗なオペレーション」を確立して回していくのは簡単なことではなく、泥臭い出来事が多数起こりそれをモグラ叩きのように対処し続けてようやくオペレーションが何とか回る、といった具合であることが大半である。しかし違った見方をすると、それだけ大変だからこそ価値があるとも言えるのではないだろうか。

 

経営コンサルティングから事業を始めたり、オペレーションの運営に関わったりすることがあれば、そもそも自分たちはいくら理屈では理解していても感覚としてはオペレーションを軽視しがちであることを意識するべきだと考えている。