トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

原理原則を持つ

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仕事をしていると原理原則を持っていることの重要性をよく感じる。ここで指す原理原則とは何らかの行動の指針になる考えのことで、信条、プリンシプルとも言い換えられる。

 

例えば企業価値。企業は企業価値の向上こそがその目的であり、企業価値を規定するのは、投下資本利益率(ROIC)と成長(g)と加重平均資本コスト(WACC)の三つであり、全ての企業活動はいずれかの要素を向上させるものでなければならない。(そしてWACCは他と比べると重要性は高くない。)この考え方にはいくらかの批判はあるが、少なくとも「コーポレートファイナンス原理主義」の視点ではこれは一つの完成された論理体系であり、この視点で物事を見ることで企業活動の評価や判断の指針になる。

 

別の例としては「顧客の便益を考える」が挙げられる。これも一見すると綺麗事に見えるかもしれないが、何かを検討するときの指針になる。顧客の便益にならないサービスや製品は遅かれ早かれ無くなると考えておいた方がいいだろう。有名な例として1975年に書かれてた大前研一氏の名著「企業参謀」で本論ではないものの理髪店における不要なサービスを指摘していたが、その後、QBカットを始めとする1000円カットのサービスが生まれた。顧客にわかりにくい料金形態も同様だろう。複雑な料金形態が横行している業界では多くの場合、分かりやすさをウリにしたプレーヤーが現れて一定のシェアを奪っている。ある小売企業の経営会議でも何らかの施策の議論になった時には常に社長は「それはお客様のためになるのか?」と問い続けていたのは印象的であった。結局のところ提供者本位だったり不誠実だったりする製品・サービスは淘汰される可能性が高いし、淘汰されるという前提に立脚するべきである。ネットサービスなどの世界では休眠会員からどさくさに紛れて月100円程度の課金をして儲ける、というような手法はよく知られている。このような手法は利益に大きく寄与している場合もあるが、やはり誠実とは言えないし短期的には利益が出ても長期的には続かないと考えた方がいいだろう。これはやや神学論争的な側面もあるが、信念・信条としてそのように考える方が健全であろう。

 

この他にも生産の分野であればトヨタ生産方式の根底にある考え方であるジャストインタイム(=必要なものを、必要なときに、必要なだけ)なども指針になる一つの原則といえるだろう。また上記よりももう少し狭いテーマであっても原理原則は存在する。それはPMIに関するものであったり、営業に関するものであったり、と各種テーマで指針となる原理原則はある。

 

原理原則を持つと判断の指針になる。ある程度まとまった塊のテーマであれば常に原理原則を吸収、理想的には構築しようとする姿勢をプロフェッショナルとして持つべきだろう。