トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

フェアシェアという概念

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事業戦略を考える上でフェアシェアという概念がある。これは「当該企業の現在の競争力を踏まえた時に得られる市場シェア」と定義できる。この考え方はあまり見かけないが私自身はこの考え方は事業戦略を検討する上で非常に強力な思考だと思っている。

 

例えばある業界で市場シェア20%の会社が新しい製品を出したする。そうすると理論上はこの製品は該当セグメントにおいてフェアシェアである20%をいずれは取れると想定するべきである。もしも予算でそれ以下であれば、それがなぜかをマーケティング部門なり営業部門なりに問うべきである。例えばシェア10%しか取れない想定であり、その理由としてもしかしたら製品ライフサイクルが5年のため、すぐには20%のシェアを取れないという理屈かもしれない。しかしそうであれば、今のペースが続けば5年後にはシェア20%になる計画になっているのか、そうでなければなぜなのか?を問わなければならない。

 

他にもフェアシェアが20%を届かない理由としては下記などが挙げられる。
●そもそも製品のスペックが従来ほど競争力がない
●製品のスペックの競争力はあるが、サービスが劣っている
●サービスは劣っていないが、製品・サービスの価格が高い
●価格競争力もあるが、営業が顧客となる企業をカバーできていない
●営業が顧客となる企業はカバーできているが、担当部署をカバーできていない
●担当部署をカバーできているが、買い替えサイクルが長い
●買い替える際は、スイッチングが起きない特性がある
●スイッチングが起きるが、営業の訴求方法がこれまでと異なり対応できていない

 

これらはどれも無味乾燥とした論理遊びに見えるかもしれない。しかし論理的だからこそ、理屈の上ではフェアシェアを取れない理由は上記のどこかに落ちるはずでありそれを多少強引であっても特定する必要がある。ここで「強引に」と書いたのは、現実にこのような話をすると個別の顧客なり地域なりの具体的な理由を列挙されて、結局全体としては上記のどこに問題があるのかが見えてこないことが多いためである。しかしだからこそ戦略的には個別の事情を多少は無視しても強引にどこに課題があるのかを考える必要があるのである。(もちろん実際のオペレーションでは個別の事情は無視できない。ただし事業戦略上は無視できるしするべきである。)それを考えることで、要因に応じて開発なり営業なりアフターサービスなりの部門で対策を打ち出せるのである。

 

フェアシェアを起点に課題を特定することは戦略的思考の一つの有効な手段である。