トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

仕事の依頼の仕方

スポンサーリンク

マネージャーになるとよりジュニアなチームメンバーに仕事をお願いすることになる。(英語ではDelegateする、と表現するがなかなか適した訳語がないのが不満だ。もちろん「委任する」と言えるがこれだとやや固すぎる。)そのような際に、私は必ず下記の6点を伝えるようにしている。
⓪背景
①論点
②目的・成果物
③方法
④目安の時間
⑤期限

 

粒度は担当者の実力に合わせて変えるが原則としては必ずこの要素を含めるようにしている。一見当たり前に見えるかもしれないが、ここにはいくつかの工夫がある。

 

⓪背景:これは言うまでもない。何かの仕事を依頼するときに背景を知っておくと、予見してなかったことがあったときに担当者が対応しやすくなる。

 

①論点:もちろんこれが最も大事である。何が問いなのか、何を検証しようとしているのか、を正しく擦り合せる必要がある。優秀なジュニアであればこれさえ平仄を合わせておけば、他は一言ずつでも十分であることも多い。逆を言えばどんなに優秀な人に委任する場合であってもここは丁寧に擦り合せるべきである。なお以前にも書いた通り、論点には必ず「べき」が入っている必要がある。

 

②目的・成果物:論点が明確になったら次はその論点に答えを出すものが必要である。コンサルティングであればそれは分析であることが多いが、場合によっては数行のテキストのときもある。そのため私はここは丁寧にやる。特にコンサルティングファームの若手は真面目でやる気があるため、必要以上の品質のものを出してしまうことが多いためである。メールで一行の文章で十分なときに、それを明示的にしないと、パワーポイントで何枚もスライドを書いてしまうこともある。また成果物もそれ自体をクライアントに提示せずに、他の情報と組み合わせて使う場合は、わざわざパワーポイントにしないで、手書きの図表なりエクセルの図表で十分なときも多い。無論、パワーポイントであれば、手書きでスライドのイメージ(いわゆるブランク/ゴーストページ)を握る必要がある。このときもジュニアであれば「データや文言を入れれば完成」のレベルできっちりと作り込み、経験のある担当者に対してであれば5秒程度で書いた「一筆書き」で済ませるべきである。いずれにせよ、マネージャーは必ず成果物のフォーマットやイメージを簡易的であれ本格的であれするべきである。

 

③方法:Howも必ず合意するべきである。以前にも書いた通りマネージャーは(パートナーも)Howを丸投げしてならない。ここで「合意するべき」と書いた背景として、必ずしもマネージャーが仕事を委任する際に答えを持っている必要はない。②までを説明した段階で担当者にHowを想定があるかを訊き、それが妥当であるかを確認する方が効率的な場合も多い。特にマネージャーの時間は限られているので、全てを自分で考える必要はなく、あくまでHowが明確になっているかを確認すれば誰が考えるかは問題ではない。むしろ実務を担当している人の方がHowは詳しい場合もある。また単純に担当者の方がマネージャーよりも実務の能力が高い場合も多々ある。そのためマネージャーはなるべく担当者に頼るべきである。Howはマネージャーが仮説は持ちつつも、担当者と議論して決めるくらいの塩梅が丁度いい。もしも担当者がHowを考えることに苦戦しそうであれば、一緒に解き方を解けばいい。

 

④目安の時間・⑤期限:一般的に仕事を委任するときは期限は明確にするようにと言われているしこれは無論、基本である。しかし私はそれ以上に目安の時間を伝えることが大事だと思っている。理由は②目的・成果物で述べたのと同じ理由だ。つまり不必要なオーバーデリバーを防ぐためである。本来は15分くらいネットで検索して見つからなければそれで十分、といった内容のものを、時間的な目安を伝えないが故に何時間も時間を掛けてしまうこともある。

 

***
ここまで⓪から⑤までを丁寧に記載したが、冒頭で述べた通り担当者への説明の粒度は担当者の実力に応じて大きく変える必要がある。実力がある人であれば、一言ずつで十分な場合もあるし、経験の浅い人であれば一つ一つ丁寧に合意していく必要がある。ただし重要なのはどんな人に対しても、マネージャーこれら6つの要素を原則として全て伝えるべきである。