トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

外向き、内向き

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私はビジネス誌などを見るときはそれらが「外向き」か「内向き」かを意識してみる。「外向き」というのは政府なり企業なり社会に関する事実や解釈を発信した情報である。一方「内向き」というのは読者に対して何らかの行動を示唆するような情報である。日経のビジネス誌で言えば、日経ビジネスは「外向き」、(休刊してしまったが)日経ビジネスアソシエは「内向き」である。「外向き」の情報誌はあくまで世の中の出来事の報道が目的であり個人への示唆は読者各自が考えることであり、当該メディアが述べることでは無い、というスタンスである。一方の「内向き」の情報誌は手帳術、リーダーシップ、キャリア、文具活用術、上司・部下との関係構築など、個人にとって直接役立つ情報を発信している。前者は主語が企業なり政府なりであるのに対して後者は主語が私(あなた)である。

 

やや蛇足だが、私自身はビジネス誌の中では日経ビジネスが圧倒的に「外向き」への徹底度合いが高いと考えている。健康コラムと読書コラムが1ページあること以外は全て徹底的に「外」について述べている。最近は「年収1000万円世帯」に関する特集もあったが、これらもどちらかというと社会問題の指摘をしており、個人が直接役立てることは殆ど書いていなかった。それに対して週刊ダイヤモンド東洋経済などは「外」と「内」の情報が混在していることが多い。

 

「外向き」「内向き」は単なる性質の違いであり、どちらが優れている、ということはない。ただし企業経営者であれば言うまでもなく「内向き」のことにはあまり興味がなく「外向き」の情報に関心が高い。従って経営に関わる仕事をしているプロフェッショナルもまた「外向き」の情報の把握とそこからの知見の構築を意識するべきだと思っている。「内向き」は所詮はお勉強なのである。ただ「外向き」の知見を構築するのは簡単では無い。「内向き」であれば日頃の仕事術などを多少概念化・構造化すればそれなりに様になることがあるが、「外向き」の場合は企業が全力で取り組んでいることに対して何かの新しい事実なり考え方を提供することであり、決して簡単なことではない。しかしだからこそ価値があるとも言える。

 

経営コンサルティングファームは比較的仕事を効率的に進める手段が体系化されており、またそのイメージもあるため、「マッキンゼー式」「BCG流」などといったブランディングの元にさまざまな「内向き」の情報がOBを中心に発信されている。もちろん、中には「イシューからはじめよ」などの良書も存在するが概して中身が薄い。(どちらかというと著者たちの本業の話題作りのために出版している場合も多いように見える。)怖いのは一度、こういった本を出してしまうと、乱暴にいえば「あの人はコンサルタントではなく、セミナー屋になった」と見られがちであることである。

 

企業経営に関連した仕事をするプロフェッショナルであれば、あくまで「外向き」の考え方をするべきなのである。

 

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以下蛇足。このブログもどちらかというと(残念ながら)「内向き」になっている。一部は「外向き」のなかなか良く書けた(と自分で思っている)エントリもあるが、やはり「外向き」を書くのは大変。