トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

ダイソンの掃除機と読売新聞の売り方

スポンサーリンク

知人に学生時代に家電量販店のアルバイトでダイソンの掃除機をある週末に日本で1番売った人がいる。また別の知人で、同じく学生時代に(巨人戦のチケットがほぼ使えない)関西で読売新聞の勧誘で、比較的高級な外資系企業の初任給よりも高い報酬を得ていた人がいる。

 

彼らに何故そこまで売れたのかという話を聞いてみると、どちらもある観点では共通した考え方が存在していた。通常の掃除機よりも単価が1.5-2.0倍くらいダイソンの掃除機を売るために、中年以上の(≒お金がある)お客に対して「サイクロン式のダイソンの掃除機以外はどんなにフィルターを重ねても空気中にゴミが舞うため健康に悪い」という惹句を展開していたとのことである。(なおこれは大げさではなく、中立的な雑誌などが実験を見ても排気に占めるゴミの量はダイソンの掃除機とそれ以外では著しく異なるのは事実の模様である。)一方の読売新聞の場合は、子供のいる専業主婦(彼女らは日中は子供としか時間を過ごさないため、大人と会話をしたい欲求がある)を狙い、「新聞なんて今の時代誰も読んでいないし、読む必要がないが、新聞が身近にあるとそれは教育上いい」という売り文句で勧誘していたとのことである。

 

これはどれも製品の訴求価値をずらし、それが最も刺さる顧客層を絞り込んでいた点で共通している。つまりダイソンの掃除機なら「清掃器具」ではなく「健康機器」として、読売新聞なら「情報商材」ではなく「教育商材」に価値をずらしているのである(そして前者と後者では人のWillingness to payが著しく異なるのである)。また訴求価値に応じて、掃除機なら健康意識の高い人が多い中高年、新聞なら教育意識が高まっている乳幼児を持つ親に絞って営業をしている。価値を明確化しそれを絞り込んだ顧客に訴求する、と書くとそれはマーケティングの基本に見えるが、現実には言われているほど簡単なことではないのである。

 

自分が扱っている製品・サービスの本当の訴求価値が何であるかは上位概念をもってより注意深く考えてみるべきなのである。