トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

人を変えるのか、人を替えるのか

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ルイス・ガースナー氏は90年代にIBMのCEOに就任し同社を再建させたことで有名である。ガースナー氏は同社の事業をハードウェアからソフトウェアに転換させたことで知られている。IBMのサクセスストーリーは非常に有名でさまざまな文脈で引用されることがあり、また同氏の著作である「巨像も踊る」は企業再建を淡々と生々しく描いた名著である。最近では日本の大手SIerも(20年遅れと揶揄されながらも)ハードからのソフトへの転換を図っており、同氏の先見の明が光っていると言えるだろう。同氏がCEOを務めていた期間で同社の時価総額は290億ドルから1680億ドルまで増えている。

 

一方であまり話題にはならないが、同氏は10万人のレイオフを実施し、またM&Aも実施したため一説によると10年で2/3の社員が入れ替わったとも言われている。つまりIBMという会社の看板こそ変わっていないが人は殆どが入れ替わり、また事業も大きく変わったため、会社名以外は別の会社になったと言える。また同氏は同社の従業員の意識や企業文化を変えたと語っており、またハーバード・ビジネス・スクールの記事でも“The thing I have learned at IBM is that culture is everything”と述べたと書かれている。これらを総合すると見方によっては、人を替えたことで企業文化を変えた、とも言えるのではないだろうか。

 

人は変わるのは簡単ではない。ましてや人を変えようとするのは極めて難しい。組織を変えようとしたら、人を変えるのではなく、人を替えるしかない場合もあるのだろう。もちろんIBMの例とは異なり、従業員を替えずに意識を変えることで企業を変え再建した事例もいくらでもある。しかし組織を変えるときに、人を変えるのか、人を替えるのかは経営にとって一つ重要な判断と言えるのではないだろうか。