トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

社長だったらどうする?

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今の会社に入りたての頃、ある現場のオペレーション改善のプロジェクトにアサインされていたことがあった。そのプロジェクトはクライアント企業と一緒になって全社のオペレーションを診断し、改善施策を立案、実行するというもので、私自身は東北の工場を担当し、ほぼ一人で常駐していた。(冬の東北は寒くまた入社したてであったため何かと心細かったことを覚えている。)そんな中である施策を推進するかどうかでクライアントメンバーと私との間でちょっとした意見の対立に直面した。その施策を実行するためには一定の費用が掛かるが、実際にそれを実行してもその施策の特性上、効果が実際に得られるかが分からないため、クライアントの担当メンバーはその施策の実行に反対していた。当時、このクライアント企業はキャッシュ流出をとにかく抑制することが求められていたため、この担当メンバーの理由もよく理解できた。ただ一方でその施策が成功すれば一定の成果は期待できたし、またこれは単なる一つの改善施策ではなく、その会社にとって新しい試みであったため失敗したとしてもやる意義があるとも思えた。また必要な費用もキャッシュ流出抑制の必要があるとはいえ大した額でもなかった。

 

ある種の板挟みに直面していたため、一緒に働いていたプリンシパルに電話越しで相談したところ、
「困っていることは分かった。(多分、細かい点は興味がなくて聞いていなかったと思う。)で、お前がこの会社の社長だったらどうする?」
と訊かれた。それまで考えたことのなかった視点であるため一瞬、答えに窮したが、すぐに
「自分が社長ならこの施策は実行すると思う。」
と答えた。続いてその理由を説明するとこのプリンシパル
「それでいいと思う。その方向で進めてほしい。」
と言い本件はクローズとなったし、また私自身もそれまでのもやもやがなくなり腹落ちした。

 

当時、まだルーキーだった自分にとってこれは非常に強烈な体験でありとても痺れる瞬間であった。いくら経営コンサルタントたるもの常に経営者の視点を持つべしと言われても、オペレーション改善を行っているとどうしても現場目線になりがちである。ましてやそれを担当するジュニアスタッフは経営目線は持ちにくいと当時の自分は無意識の中で思っていた。しかしそんな若手に対してもこのプリンシパルは「社長だったらどうする?」という質問を投げかけることで、問題解決を経営目線に引き上げたのである。(今でも、この問いを投げかけてくれたことをとても感謝している。)

 

経営コンサルティングファームに所属するものであれば、どんなにジュニアなスタッフであっても、どんなテーマのプロジェクトであろうとも常に「自分が社長だったらどうする?」という視点は持つべきなのである。