トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

アドバイザーの価値

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本業ではないが何人かのスタートアップの社長から定期的に相談を受けることがある。それは事業撤退に関するものであったり、営業拡販であったり、取り組むべき施策の選択であったり、新規投資(M&A)に関するものであったりと様々である。自分自身はスタートアップに関する土地勘はそこまでなく、また事業を経営したことはないのでどこまで役に立っているかは不安に思える時もある。ただそれでも何人かの人はどうやらそれに価値を感じて貰えているようで、多い人だと1~2ヶ月に一度くらい、少ない人でも半年に一度くらいは連絡をくれる。アドバイザリー体質の人間としては、このように相談を受けることは素直に嬉しいし光栄なことである。色々と相談を受けるうちに、結局のところ彼らは私との議論の中で二つの価値を感じているのではないかと思うようになった。

 

一つ目は「この人は私心なく本当に自分の役に立ちたいと思ってくれている」と思えることである。そのような信頼が根底にあることで初めて個人間の関係性は気にせずに議論の中身に集中できる。私の場合、相談にのるのは友人として相手に貢献したいと思っていることに加え、純粋にこのような議論が知的に刺激的なためやっており、少なくともこれを何か商売に結びつけようというきはさらさらない。そのため相手にとって多少聞くのが苦痛なことを話したとしても、それは何か相手を不安にさせてモノを売ろうとしているのではなく純粋にそれが相手になんらかの形で貢献できると思っているためであり、それは相手にもそう感じているように見える。このような信頼関係があることが相談をする上での大前提であるが、案外このような人を見つけるのは難しいのかもしれない。社内の人も社外の人もいくら本人たちは誠実であっても立場的になんらかの利害関係が生じてしまうためである。

 

二つ目は「壁」であることの価値である。どんなに一人で考えるのが好きな人であっても、全く同じことを一人で考えるのと(例え相槌しか打たない人であっても)人に話を聞いてもらいながら話すことで思考の深さが全く異なる。これは非常に不思議なものだが、悩んでいることを人に話すことで(特に相手がなにか発言をしなくても)解決することは多い。テニスで言うところの壁打ちの「壁」を求めているのだろう。壁だけでも価値はあるがそこで少しだけ議論を構造化したり、相手に質問を投げかけることで議論は更に深まる。そのような壁を社長たちは必要なときがあるのだろう。プロフェッショナルファームから大手食品会社の事業部長に転じた知人もファームを辞めてから「ディスカッションパートナーの重要性と希少性を痛感した」といってたのもこれに通ずる話だろう。

 

これがアドバイザリーの全ての価値とは思わないが、これらは典型的な提供価値ではないかと考えている。