トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

論点思考雑感

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いわゆる問題解決の基本動作の一つに論点(イシュー)を明確化することが挙げられる。論点とは文字通り、何を論じるべきかを明確にしたステートメント(一文)である。議論をする際には必ず論点が明確になっている必要がある。しかし現実にはこの論点に沿って物事を議論することは難しい。論点思考ができるには結局のところは慣れではあるが、いくらかのコツは存在するので本エントリでは自分なりのコツを述べていきたい。

 

一つ目は論点には必ず「べき (Should)」を入れる必要がある。理由は「べき」が入ってると判断を含む行動に結びつくためである。物事を議論する目的は詰まるところ結論、すなわちアクションを明確化することにある。そのため、原則としてどのような論点でも、強引にでも必ず「べき」を入れる習慣を身に付けるべきである。強引にと述べたのは、陥りがちな傾向として論点を分解したサブ論点で「べき」が消えることが多いためである。例えば、ある市場に新規参入するかどうかを検討するにあたっての論点は「XX市場に新規参入するべきか?」となる。その検討の中で「市場はいくらで伸びるのか?」「どのような競合がいるか?」などの問いが生じこれを論点と呼ぶ人が多いが、原理原則としてはこれらは論点ではない。これを論点にするならば「市場の成長性のみの観点からは当社は参入するべきか?」あるいは多少こじつけではあるが「市場の成長率はいくらで伸びると想定するべきか?」とするべきである。このように「想定するべき」と言い換えることで新規参入検討の前提が明確化されるのである。これは言葉遊びに見えるかもしれないが慣れてくるとその違いを実感するだろう。(私自身も最初はその違いはないと思っていた。)論点はあくまでも行動に結びつけるべきなので、論点には必ず「べき」を含めるべきである。それによって格段に論点思考の切れ味が上がる。

 

二つ目は必ず議論の初めに論点を宣言することである。これも当たり前に見えるが自分の実感としては99.99%の議論ではそれが実施されていない。重要なのが明示的に本エントリの論点の定義で宣言することだ。多いのは論点を一文のステートメントで述べられない場合が多い。だらだらと話すが結局の論点が明確に共有されていない場合が多い。常に新しい論点に移ったときは「今からの議論の論点は『XXをXXするべきか』である」と一文で簡潔に宣言する習慣を身に付けるといいだろう。

 

三つめは論理的な論点の流れを意識することである。論点に沿った議論というものは原則として下記の流れになる(はず)である。

0) 論点の背景
(1) 論点の宣言
(2) オプションの洗い出し
(3) 評価軸の洗い出し
(4) オプションの評価
(5) オプションの決定


もちろん現実のは行ったり来たりするがあくまで原則としては上記の流れになる。議論をしているときは常にどの流れにいるかを意識するべきである。なお、論点が複雑な場合は議論の途中で「どのようなオプションを評価するべきか?」「どのような評価軸を用いるべきか?」などの論点の論点が出ることもある。

 

上記のコツはいずれも当たり前に映るかもしれないが、現実には(私の周りを含め)大半の議論ではここまで明確な規律を持った議論は少ないと思っている。多少の窮屈さを感じるかもしれないが、上記をしばらく実践してみると議論の効率性は格段に進歩するはずである。