トーキョーハーバー

コンサルティングの現場から

2,000万円の時計とリスクの取り方

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最近2,000万円の高級時計を購入した知人がいる。彼は難関大学の理学部の修士課程を卒業した後、新卒で外資系金融機関(業界の中では準大手のクラス)に就職し同じ会社で30代後半で幹部となり今もその会社で勤めている人物である。時計以外にもさまざまな趣味を持ち、港区の高級マンションに住んでいるという典型的な所謂「ニューリッチ層」といっていいだろう。

 

仮に彼の現在を「成功」と見做すならば(個人的にはキャリアや人生の成功という概念は好きではないが、わかりやすさのためにこのように呼ぶ)何がこの「成功」の要因だろうか?強引に要素還元するならば私はその7割は「新卒で全く畑違いの外資系金融の準大手に就職したこと」であると考えている。彼に世代ではある程度、外資投資銀行などは人気が出始めていた頃ではあるが、特に彼の進んだ部門や会社は決してメインストリームではなく、ましてや当時の理学部修士課程から進む人は少なかった時代である。しかし24歳にしてその選択をした僅か15年後には同世代の数十倍の収入を手にすることとなった。つまり同級生とは異なる選択をしたことが彼の「成功」の要因と言える。しかもその選択は24歳の難関大学の理学部の学生にとっては大きな不透明性、つまりリスクがあっただろう。勿論、彼は入社してからも多くの苦労があったかもしれず、また成果に対して厳しい外資系金融故に苦労もあっただろう。しかしそれらはその選択をしたら誰もが直面する苦労であり彼が何かそこで独自の何かは行なっていないと思われる。言ってみれば持ち場で頑張っただけである。

 

コンサルティングファームのパートナーから金融分野である独自のサービスを立ち上げた知人は「頭のいい人なんて山のようにいるから、どこでリスクを取るかが全てだ」と表現をしていた。結局、企業戦略同様に「どこで戦うか」の意思決定はキャリアを考える上で極めて大事である。殆どそれで決まるといっても過言ではない。優秀な人ほど所謂人気業界・企業に集まりであるが、戦略の観点ではこれはなかなか分が悪い戦いであり、「成功」(繰り返すがあまり好きな概念ではない)したいのであれば、持ち場で頑張るだけでなく(勿論、持ち場で成果を出すことは大前提であるが)、いつ・どこでリスクを取るのかをもっともっと考えるべきだろう。